AKIRA 新境地開いた“老けメーク”と“歌唱シーン”
EXILE AKIRA(37)が主演を務めた映画「この道」が11日に公開初日を迎える。グループでは激しいダンスで魅せるパフォーマーだが、童謡の礎を築いた音楽家・山田耕筰を演じるにあたって貴重な歌声を披露し、“老けメーク”にも挑戦した。ソロ活動では俳優道をまい進しているが、今年は海外へと視線を向け、可能性を広めていく。
EXILEのパフォーマーとしてステージで輝きを放つAKIRAだが、ソロでは役者のキャリアを着実に重ねている。2006年のグループ加入前から演劇に取り組み、12年に人気ドラマシリーズ「GTO」で主演。17年にはマーティン・スコセッシ監督の「沈黙-サイレンス-」で、ハリウッド映画にも初進出した。
「作品に入るときはゼロからじゃないですか。毎回リセットされてゼロから生み出すのは、苦しみでもあり、楽しみでもあります。役を通して自分を成長させてもらえるのが役者業の醍醐味だと思います」
“俳優AKIRA”の最新作となるのが、100年前の童謡誕生の史実を描いた映画「この道」。佐々部清監督(60)がメガホンをとり、大森南朋(46)とダブル主演を組んだ。AKIRAが音楽家・山田耕筰役、大森が詩人・北原白秋役で、「からたちの花」など数々の童謡を生み出した名コンビを演じた。
明治生まれの耕筰は、西洋音楽をいち早く日本に取り入れた人物。劇中にはバイオリンを演奏したり、指揮する場面も盛り込まれた。「小学校の時、一瞬、ピアノをかじりましたが記憶にないくらい。楽器をしっかり弾いたのは初めて」というだけに、ライブの楽屋にもバイオリンを持参して猛練習を重ねた。
童謡「この道」「赤とんぼ」の歌唱シーンについては、「今まで封印してきたものを、ついに解きました」とおどける。「(EXILE TRIBEの)若い子たちはバラエティー番組で歌ったりとかあるんですけど、僕はそういう機会がまったくなかったので。今回も歌うというより、口ずさんでる、ですけどね」と“初体験”を回想した。
エンディングでは、EXILEのボーカル・ATSUSHI(38)が歌う「この道」が流れるが、「比較されたらつらいです」と苦笑い。「いつか自分の主演映画を作るとき、主題歌をATSUSHI君だったりEXILEに歌ってもらえたら、こんな素敵なことはないと思っていたので、感慨深いものがあります」と絆をにじませた。
AKIRAにとっては実年齢に近い30歳代後半から、60歳代までを演じた。特殊メークによるてい髪の初老姿は、共演者の多くも“正体”に気づかなかったといい、「あそこのシーンは、ハリウッド級のクオリティー」と胸を張る。「不思議と、顔が老いてやつれた感じに見えると、心も疲れてくるんですよ。自然と力が入ってこなくなって」と役作り秘話も明かした。
昨年は、2月に同作を撮影した後、秋からは2年半ぶりに再始動したEXILEのツアーが始まった。「EXILEって自分が1番力を発揮できて、青春を感じられる場所。ありがたみも、あらためて感じました」としみじみ。
今年はEXILEとして活動する一方で、個人では「海外に拠点を置いて、可能性を広げていきたい。気持ち的には0対100ぐらいで海外。それくらい切り替えてやらないと、次のステップにはいけないので」と“大勝負”に出る。「昔だったら恥ずかしくて口に出せなかったのですが、海外作品に挑戦したいと思います。そのための準備をしていきたい。もっともっと実力、知識、語学力が必要ですから。さらなるレベルアップへ、2019年は個人としては蓄えの年になるのかな」
決して“独りよがり”な計画ではない。「いろんな形でMr.EXILEが世界に点在して、各国の現場で点と点がつながったときに、それがEXILEなんだ、というのが次の大きなビジョン。ダンス&ボーカルグループという集合体だけじゃない、もっと広い意味でのグループになっていくと思う」。EXILEの未来も見すえ、新たな環境で己を磨いていく。