宝塚月組・美弥るりか「アンナ・カレーニナ」耽美さとひたむきさが漂う青年将校
月組スターの美弥(みや)るりか主演の「Anna・Karenina-アンナ・カレーニナ-」が10日、兵庫・宝塚バウホールで初日を迎えた。19世紀後半のロシアの貴族社会を舞台にした文豪トルストイの不朽の名作をミュージカル化したもので、タカラヅカでは2001年に初演された。08年に星組で再演された際に、美弥も主人公のヴィロンスキーに妻のアンナ・カレーニナを奪われる政府高官役に抜擢された。
将来を嘱望されたエリート青年貴族将校が、貞淑な人妻アンナと出会ったことで、破滅へと突き進む愛の物語。今回、美弥は人妻のアンナを奪う側に立った。破滅が見えているにも関わらず、愛に準じるしかなかったヴィロンスキーを耽美さとひたむきさを織り交ぜ、丁寧に演じ上げた。その結果、不倫ではなく“究極の愛”へと見事に昇華させた。
タイトルロールのアンナを演じた海乃美月は貞淑な人妻が“真実の恋”に目覚め、人生を踏み外していく様を好演した。またアンナの夫のアレクセイを演じた月城かなとも髭姿も美しく、妻を愛するがゆえに苦悩する姿が胸を打った。
公演は24日まで。