“読めるラジオ”でファン拡大狙うHBCの「書き起こし戦略」
北海道放送ラジオ局(以下、HBCラジオ)が“読めるラジオ”戦略でリスナー獲得を目指している。1月から、自局のラジオ番組で放送した話題を「文字起こし」してLINEアカウント「HBCニュース」から配信するという試みを行っている。
配信する番組・コーナーは、早朝ワイド番組の「朝刊さくらい」(月~金曜、午前6時30分)内で、話題の新商品や便利グッズを紹介するコーナー「ネクストフォーカス」、午前ワイド番組の「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」(月~金曜、午前9時)から北海道在住のイラストレーター・手塚越子による旅と観光コーナー「手塚流 遠足のススメ」、J1札幌の野々村芳和社長がチームの最新情報を伝える「野々村芳和のコンサドーレ情報」の3つ。これらの情報を、当日ないし翌週までにLINEで配信している。
ラジオ局編成業務部長の角田拡樹氏は、今回の取り組みについて「放送で取り上げた内容をラジオ以外のメディアで紹介することで番組をPRするとともに、新たなリスナーも開拓したい」としている。
ラジオは放送されると“それで終わり”という性質が強い。それが良さでもあるが、「radiko」のタイムフリー機能で1週間は聞き直せるとはいえ、個別に個人的に録音でもしない限りは保存性は低くなってしまう。同局の編成業務部担当者は「テキスト化されることで2次利用することもできるし、アーカイブとしても残すことができる」とその効果に期待している。
テレビと違ってフリートークの要素が強いラジオでは、台本通りに出演者が話すケースは少ない。書き起こしを担当するライターが耳で聞いて、文章として意味が通るように編集する必要があり、同担当者も「ラジオの場合は流れた放送をもう一度、文字起こしして原稿化する作業が必要なんです。いちから作らないといけない点で労力が必要です」と説明する。
とはいえ、目で見える形で記録を残すことで、普段はラジオを聞かない人に情報を届けることもできる。「掲載メディアを今後増やしていきたい」と同担当者は前向きだった。