放送終了30年…色濃く残る「ぬかるみの世界」 もう一度聴きたい鶴瓶・新野のうだ話

 誰もが必死にラジオの深夜放送を聴いていたあの頃。ラジオ大阪の「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」(1978年4月~89年10月)は、笑福亭鶴瓶と放送作家の新野新が、日曜深夜0時から2時間半、延々とうだ話を続ける番組だった。

 関西地盤のお好み焼きチェーン「千房」では、当時のリスナーだけに知らされた裏メニュー「ぬかるみ焼」が、いまだに存在するという。番組終了から30年がたっても、人々の記憶に色濃く残るラジオ。ディレクターだった岩本重義さん(74)に話を聞いた。

 関西の中高生や大学生が、ぬかるみに足を踏み入れ、そしてハマっていった。女子高生の投書がきっかけで呼びかけた「新世界ツアー」には5千人以上が詰めかけ、岩本さんが警察署や機動隊に始末書を出す事態に。番組本はベストセラーになり、サイン会にもファンが殺到した。

 岩本さんは、若い息子と母親がうだうだしゃべる番組をやりたいと鶴瓶に話し、母親役には故・海原小浜さんを考えていた。「鶴瓶ちゃんが男同士で、新野さんとやってみたいということで新野さんを口説いたんです」。男同士のうだ話が時には社会現象になった。

 番組に届く封書を読むだけでも3日かかった。「封書は週に500通は来てましたね。家でも読んでいました」。生放送が終わっても、新野新の家に鶴瓶とともに向かい、明け方まで話していたという。絶妙だった鶴瓶と新野のあうんの呼吸は、関係の濃密さから生まれていた。

 ぬかる民と呼ばれていた熱狂的なリスナーも、もう50~60代。“同窓会”をやるのが夢だという。「みんな元気か?と呼びかけたい。当時聴いていた人とのツアーとかやりたいんです。会ってみたいなという気があります」。83歳の新野新とは、定期的に会っているという。

 番組の“復活”にも触れた。「1回だけはやれるような気がするんですよ。やりたいですね」と岩本さん。鶴瓶も67歳。齢(よわい)を重ねた2人のうだ話を、もう一度聴いてみたい。

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