「暴力はうそ」鬼父書かせた…児相、心愛さんの意思確認せず自宅に戻す
千葉県野田市立小4年の栗原心愛さん(10)が自宅浴室で死亡した事件で、同県柏児童相談所は5日に記者会見し、心愛さんを自宅に戻すかどうか検討していた2018年2月、「お父さんにたたかれたというのはうそです」などと書かれた心愛さんの名前入り書面を、父勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=から提示されたと明らかにした。
児相は当時、心愛さん自らの意思で書いたのか確認しないまま、2日後に自宅へ戻すことを決定、心愛さんは3月上旬に自宅に戻った。その後、児相職員が書面の内容について心愛さんに尋ねるため学校で面会した際、「父に書かされた」と打ち明けられた。
当時、親族宅に身を寄せていた心愛さんが、勇一郎容疑者が仕事で不在時に自宅に戻った際、同容疑者から母なぎさ容疑者(31)=傷害容疑で逮捕=に「こういう手紙を書くように」とのメールが届き、心愛さんがメールを見ながら書き写したという。
書面には、心愛さんの署名があり「(たたかれたというのは)先生に聞かれて思わず言った。ごめんなさい」「ずっと前から早く(家族)4人で暮らしたいと思っていた。お父さんに早く会いたい」「児童相談所の人にはもう会いたくない。会うと嫌な気分になる」などと書かれていた。
柏児相によると、児相職員が18年2月26日、自宅に戻すか判断するため、親族宅で勇一郎容疑者と面会。心愛さんは同席せず、容疑者が書面を示しながら心愛さんを自宅に連れ帰ると迫ったという。
二瓶一嗣所長は会見で、書面を心愛さんに書かせた行為を「虐待と捉える必要があった。(心愛さんは)つらかったと思う」と述べた。心愛さんが自宅に戻って以降、家庭訪問していなかったことについて「(状況を)直接確認する必要があった」とも話した。