宝塚花組公演、フランス人作曲家「プロフェッショナル!」
宝塚歌劇団花組トップスター明日海(あすみ)りお主演の「CASANOVA」が8日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。明日海の相手役を務めるトップ娘役・仙名彩世(せんな・あやせ)の退団公演でもあり、初日から熱い舞台が繰り広げられた。
ミュージカル「1789-バスティーユの恋人たち-」などで知られる、フランスの作曲家ドーヴ・アチア氏が全曲を手がけた話題作。ロックやポップス、カンツォーネやクラシックなど多彩な曲調が魅力の一つ。
舞台稽古から立ち会ったアチア氏は「フランスでは歌、ダンス、芝居とそれぞれが別の人間が担当。だからタカラヅカは歌はそれほどでもないのかなと思って、歌いやすい曲を作ろうと思っていた」と当初の思いを正直に吐露。「だけど彼女たちはプロフェッショナルだった」と“歌いやすさ”から方向転換したことを明かした。
また初日の幕を開け、短期間で仕上げてきたことにも「100年以上あるタカラヅカの経験、遺産」と感嘆。「特にカサノヴァ、ベアトリーチェ、コンデュルメル夫人」とトップコンビとともに、物語の鍵を握る女性を演じた鳳月杏(ほうづき・あん)の名を挙げた。
鳳月は男役ながら、今回は女役のコンデュルメル夫人に挑戦。低音が魅力の男役だが、今作では見事な高音域を披露した。今公演を最後に、前に所属した月組に組替えとなる。明日海も「ちなつ(鳳月)には支えてもらってきた。寂しいけど『いいスターになっただろう!』と自信を持って月に返せる」と感謝していた。
また明日海も「アチアさんは優しくて、稽古でも『パーフェクト』と。ロックだけどどこか懐かしいような曲」と得意の歌で観客を魅了。これが最後の退団公演となる仙名は「ラップ調の曲で明日海さんと応酬したり、最後に斬新で、冒険させていただいてます」と目を細めた。
宝塚大劇場は3月11日まで。東京宝塚劇場は3月29日~4月28日。