藤井七段、一般棋戦最年少連覇“最強”渡辺棋王に完勝 羽生九段以来2人目
将棋の最年少プロ棋士・藤井聡太七段(16)が16日、都内で行われた第12回朝日杯将棋オープン戦決勝で、渡辺明棋王(34)を128手で破り、羽生善治九段(48)に続く史上2人目の大会連覇を果たした。史上最年少での一般棋戦連覇となる。同棋戦は持ち時間各40分の早指し棋戦。自身と同じ中学生プロ棋士で、今期勝率8割超えと絶好調の渡辺との“最強決戦”に完勝した。
昨年に続き、完全に藤井七段の独壇場だった。最後は大差となり、渡辺棋王が投了。風格すら感じさせる勝利で連覇を成し遂げた。
渡辺棋王は今期、決勝戦前の勝率が・810で、対局数20局以上の棋士で3人しかいない8割超え。順位戦B級1組では11連勝でA級復帰を決め、第68期王将戦では3勝0敗と奪取に王手、第44期棋王戦も2勝0敗と防衛に王手を掛けている。
藤井七段も決勝前の勝率は・847と全棋士中最高で、まさに最強棋士同士の激突。非公式戦も含め、渡辺棋王とは初対決となった藤井七段は、中盤までの難解なねじり合いから機敏な指し回しで優位を拡大。渡辺棋王に「最後はどうにもならなくなりました」と言わしめる完勝で今期成績を40勝7敗とし、勝率は・8511に。1967年度に中原誠十六世名人(71)が記録した歴代最高勝率・8545の更新にも望みをつないだ。
史上2人目の連覇に「しっかり1手1手考えて指すことができた」と笑顔。昨年の初Vから1年で「形勢判断や時間配分で成長できた。形勢が動きやすい中盤の指し方を強化しようと取り組んできた結果も出た」と、持ち前の終盤力のみならず、総合力を確実に高めた手応えを口にした。
賞金750万円の使い道を問われると「とりあえず貯金します」と照れ笑いするなど、素顔はあどけない高校生。それでも昨年は羽生九段、今年は渡辺棋王と、永世称号資格者を撃破しての優勝。完全に視野に入った初タイトル獲得に向け「昨年は挑戦に及ばなかった。この優勝を機に、タイトルにも一歩近づいていけたら」と自信も漂わせた。