自殺農業アイドル母「社長が萌景裏切った」 第1回口頭弁論真っ向対立
愛媛県を拠点に活動する農業アイドル「愛の葉(えのは)Girls」のメンバーだった大本萌景(ほのか)さん=当時(16)=が自殺したのは、所属会社「Hプロジェクト」(松山市)のパワハラや過酷な労働環境が原因だとして、遺族が同社や社長らに約9200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、東京地裁で開かれた。萌景さんの母・幸栄さん(43)は「社長が萌景を裏切った」と号泣したのに対し、事務所側は「パワハラとは考えられない」と主張を対立させた。
萌景さんの母・幸栄さんは遺影を抱えて、黒のスーツ姿で、地裁に入った。
冒頭での意見陳述では「社長は萌景を裏切った。萌景は2度と戻ってきません。真実を明らかにするために裁判を起こしました。明らかにしてほしい」と訴えた。また「ようやく花が咲き始めたところを理不尽に切り落とされた。萌景と同じ夢を持っている、たくさんの子たちに同じ苦しみをしてほしくありません」と号泣した。
会社側は争う姿勢。弁論後、会社側代理人の渥美陽子弁護士は都内で会見し「拘束時間は自由時間を含んだもので過重労働はなかった。姿勢をたしなめたことはあるが、パワハラとは考えられない」と話した。
訴状などによると、萌景さんは2015年7月から「Hプロジェクト」に所属し、アイドル活動のほか、農作業をして農業の魅力を発信。17年ごろからイベントで長時間拘束されたほか、学業との両立に悩み脱退の意向を会社側に伝えると、社員から「ブン殴る」などと暴力的なメッセージを通信アプリ「LINE」で送られるなど、パワハラを受けたと主張している。
訴訟は松山地裁に起こされ、東京地裁に移送された。次回の口頭弁論は4月22日、午後3時半から行われる。