ゴーン被告、作業着保釈 “ダミー”の黒ワゴン車も
会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)は6日、保釈保証金10億円を納付し、東京拘置所(東京都葛飾区)から保釈された。作業着に身を包み、軽自動車に乗って拘置所を出るという、世界的経営者とは思えない姿を見せた。昨年11月の逮捕以降、身柄拘束は108日に及んだ。ゴーン被告は全ての起訴内容を一貫して否認しており、弁護団は公判対策を本格化させる。
6日午後4時半ごろ、作業員が使うような青い帽子に白いマスク、紺の作業服にオレンジの反射材を身に着けた男性が、何人もの警備員に囲まれながら東京拘置所の出入り口に現れた。身柄拘束されて108日。変装した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告だった。
一瞬、右手で黒のワゴン車を指さし、乗車する車両を確認。関係者に促され、ワゴン車の前方に停車していたシルバーの軽自動車に体を滑り込ませた。
軽自動車は日産ではなくスズキの車両。同乗した運転手ら2人も作業着姿で工事関係者を装う念の入れようだ。直前には黒のワゴン車が出入り口に横付けされた。いかにもゴーン被告が乗り込みそうな“ダミー”として報道陣の注意を引いた。
保釈前には、ゴーン被告の妻子がフランス大使館の関係車両で2回にわたって拘置所に入り、ゴーン被告と接見したとみられる。
拘置所前には、国内だけでなくフランスやロシアなどの海外メディアが詰めかけ、緊迫した雰囲気が漂った。
手の込んだ変装での逃走劇だったが、報道陣にはバレバレでしっかりと追跡された。軽ワゴン車は約1時間後、弁護士事務所が入る都内のビルに到着。ゴーン被告は車を降りた際、キャップやマスクを外しており、やつれたようにも見えた。
ルノーや三菱自動車と組む企業連合を率い、世界販売台数2位にまで押し上げたゴーン被告。日産の関連会社の男性社員(51)は「会社のトップだった人間が変装するなんて意味が分からない」と話した。
保釈され、東京拘置所を出る日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告=6日午後4時32分、東京・小菅弁護士事務所が入るビルを車で出る=6日午後8時14分、東京都千代田区