平松まゆき氏アイドルから弁護士に異例の転身 猛勉強で大学合格、就職…執念で司法試験に合格

 元アイドルでCDデビューも果たした異色の弁護士が大分市にいる。平松まゆき氏(42)。12歳のころに菓子メーカー東ハトのCMモデルコンテストでグランプリを獲得し、芸能界に入った。17歳で歌手デビューするも30代で弁護士に転身。ユニーク過ぎる経歴に迫った。

 「十代のころはアイドルに夢中でした。宮沢りえさん、南野陽子さんが好きで」と話す表情は人懐っこく元アイドルの雰囲気が残る。「本気で芸能界に入ろうと思って応募したんじゃなかったんです。だからグランプリになって驚きました」と振り返った。デビュー曲は「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲になり、ラジオのレギュラーも5本抱えた。

 しかし、19歳のころ、友達が大学生になっているのを見て刺激を受け、「大学生になろう」と猛勉強。立教大学文学部に合格した。実際の勉強期間は5カ月だったという。

 大学を卒業。芸能活動からも遠ざかり、一般企業に就職した。ある日、「名張毒ぶどう酒事件」で再審を求める弁護士らの活動を記録したテレビ番組を見た。「世の中には、こんなにも他人のために人生を懸けられる人たちがいるのか」と感銘を受けた。その後、ハンセン病訴訟の弁護団共同代表を務める徳田靖之弁護士の講演を聞いて心を動かされ、弁護士を目指した。2010年に名古屋大学法科大学院入学。15年に司法試験に合格した。

 平松氏は「私が受けていた時は『受験回数は3回まで』という制度でした。おかげで心理的に本当にきつかった。1回目を失敗した時はあと2回しかない、2回目を失敗した時は次が最後だと思うと、恐怖感で一つ覚えては一つ忘れて。3回目ではこれで最後だと思うとこわばった」。

 司法試験に合格した年にハンセン病元患者家族国家賠償訴訟が始まった。平松氏は「裁判の末席に関わりたい」との思いから弁護団の1人として活動する。

 学生生活からストレートに弁護士になった若い人の中に、時に危うさを感じることもあるという。人と異なる経験を経たからこその弁護士を目指す。(デイリースポーツ・林 大造)

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