内田裕也さん、怒号と激励…体感した激しさと温かさ
ロック歌手で映画俳優としても活躍した内田裕也(うちだ・ゆうや、本名雄也=ゆうや)さんが17日午前5時33分、肺炎のため都内の病院で死去した。79歳。兵庫県出身。葬儀・告別式は近親者で行い、お別れの会は後日予定。
裕也さんに噛みつかれたことが忘れられない。2012年11月、タレントのスギちゃんと一緒に登場したイベントを取材したときだった。“一発屋回避”に必死なスギちゃんにウケつつ、コメントをメモしていた。和やかな雰囲気で終わったが、退出しようとした裕也さんは私をにらみつけ、「何を笑ってるんだ!!どこの記者だ!?」と怒号を飛ばした。
あっけにとられつつ社名を名乗ると、裕也さんは楽屋へ戻った。その直後、関係者から「裕也さんが怒ってるので、謝罪しに来てください」と言われた。「こちらに不備はないので謝ることはできません」と関係者に伝えて楽屋へ向かうと、対面した裕也さんの口から飛び出したのは意外すぎる言葉だった。
「デイリーって、神戸新聞(の関連会社)なんだよな!?こないだもデイリーはわざわざ京都まで来て、取材してくれたよ。お前も頑張んなよ」。まさかの激励に頭の中が『?』でいっぱいの私とガッチリ握手して、裕也さんは去って行った。
噂に聞く気性の激しさと温かさを一気に味わった。ときに世の中への憤りを歌声に乗せた裕也さん。いつの日か私への怒りの理由も聞きたかったが、残念ながらその機会に恵まれなかった。ご冥福をお祈りします。(報道部芸能担当・丸尾匠)