織本順吉さん「役者は出番が終わったら静かに去るべき」と延命治療受けず

 俳優・織本順吉=本名・中村正昭=さんが18日午後0時2分、老衰のため亡くなった。92歳。20日に近親者のみで密葬を行った。所属事務所によると、17年に放送されたテレビ朝日系「やすらぎの郷」への出演が最後の仕事となった。同年5月上旬に撮影が終了したという。長女で放送作家の中村結美さんが事務所の公式ホームページに寄せたメッセージには、役者人生を全うした織本さんの生き様がにじんでいた。

 中村さんは、最後まで現役として生きた父の姿を数年前からドキュメンタリーとして撮影。17年に第1弾が、今月3日には続編「老いてなお 花となる 第二章~俳優・織本順吉92歳~」が放送されたばかりだった。

 中村さんによると、織本さんはここ数年かなり足が弱り、自宅で立てなくなったため、年明けから病院に入院していたという。「徐々に体の機能が衰え、最期を迎えました」と伝えた。「役者は出番が終わったら、静かに去って行くべきだ」という本人の意思を尊重し、延命治療は受けなかったことも明かした。

 織本さんは3日に放送された自身のドキュメンタリーを病室で見たそうで、「俺は幸せな役者だ。感動して眠くなんかならない」と感想を口にしていたという。

 中村さんは「本当に幸せな役者人生でした。90歳まで現場に出られたのは、老いた俳優をいたわり、おつきあい下さった全ての方々、そして作品をご覧下さった皆さまのおかげです。本当にありがとうございました」と感謝の思いをつづっている。

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