ファミマの人種差別抗議の張り紙に反響広がる「人として共感」、外国語のコメントも

 24時間営業のコンビニエンスストアで働く外国人従業員が増えている。そんな時代に、大手チェーン「ファミリーマート」の都内にある店舗で、来店客による「人種差別と言わざるを得ない発言」への抗議文が店内に貼られ、SNSによって大きな話題になった。

 「特定のお客様から人種差別と言わざるを得ない発言がありました。今後このようなことがあれば差別として強力に抗議いたします。またそのような方の来店は拒絶いたします」。この文言を“第一報”で発信したのは、近くのバーで週6日勤務するフリーの芸人・ラーメン大好き石塚さん(30)だった。

 昼営業のカウンターに入る石塚さんは買い出しに行く同店で3月11日に張り紙を見つけ、怒りを覚えて撮影した画像と共にツイート。記者が現場に赴いた翌日、大きな反響ゆえか、張り紙は剥がされていたが、ネット上では店側の姿勢を支持する声が多くを占めた。

 “人種差別発言”の内容について、ファミリーマート本社の広報担当はデイリースポーツの取材に「今回の件は把握しております」とした上で、「誰が、どのようなことを言ったかについては差し控えさせていただきます」と個人の心情にも配慮して明言を避けた。

 「店名は出さないでいただきたいです」。同社の意向を汲み、報道後の“2次被害”も考慮して場所は特定しなかったが、その後、SNSやネット媒体で情報が拡散。今回も店名は伏せるが、今も昔も数多くの表現者らが集う昭和の文化を残す飲み屋街で、近年は外国人旅行者の東京観光スポットとして人気の場所にあるとだけ記しておく。自由で多様性にあふれた国際的な街だけに、張り紙の内容にギャップを感じた。

 2週間後、石塚さんの店で後日談を聞いた。「張り紙を剥がすべきでなかったと思うのは第三者としてで、店長さんのお気持ちも分かるんですよ。冷やかしで写真を撮りに来る人がいたり、(SNSに)心の問題としてでなく、エゴで書いちゃう人もいますもんね。便乗する人が」。今回の件を機に石塚さんの元を訪ねる人もいたが、「思想的な人とか、右とか左とか関係なく、普通に『人として共感したから』と、純粋に来てくださる人たちでした」と振り返る。

 3月末までに、石塚さんのツイートには、「いいね」が5万5000件以上、リツイートが2万5000以上、300以上のコメントが寄せられた。

 「韓国の人からハングルでコメントが来ました。翻訳機能で訳すと『人種差別は治癒できない傷です』と。一部の中傷コメントには『ネットでほえるのなら店に来て。1杯ぐらいごちそうするから顔を見て話そう』と返しましたが、誰も来ない。SNS上で顔が見えない匿名によるヘイト。そういう了見はダサいですよ」と石塚さん。影響を受けた落語家・立川談志さんのモノマネを随所に織り込みながら思いを語った。

 4月から改正入管難民法が施行され、知識や経験を要する技能を持つ外国人の受け入れ人数は5年間で最大34万5150人を想定。新元号と共に、さらに日本で多くなる、さまざまな人種の労働者と共生する時代に入る。(デイリースポーツ・北村泰介)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス