新元号「令和」施行前に注意!改元詐欺の巧妙な手口とは 小川泰平氏が解説
新元号「令和」が5月1日から施行される。平成最後の「月」である4月は、その過渡期となるわけだが、その世相に便乗した“改元詐欺”が横行している。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、デイリースポーツの取材に対し、その手口と対策を解説した。
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今年1月には「改元で使えなくなるので、金融機関のキャッシュカードを変更する必要がある」と偽った手紙を横浜市内の70代女性に送り、カードをだまし取ろうとした詐欺未遂容疑で都内の40代会社役員が逮捕された。2~3月にも各地で、こうした詐欺事件が多発している。
いずれも高齢者の女性が狙われるケースが多い。手紙や電話で「手続きに必要」などと伝えられ、信じてしまった人がカードの暗証番号を言葉巧みに聞き出されて被害に遭っているのが現状である。
その手口としては、一般の人が信用してしまうテレビ局や役所関係の名称を偽ることが目立つ。警察署を名乗るケースも増えている。一般社団法人「全国銀行協会」を装った封書で「改元で銀行法が改正されるので、金融機関のキャッシュカードを変更する手続きが必要となる」として、暗証番号と共にキャッシュカードを送らせていた事件もあった。警察官や銀行員、百貨店の社員を偽るケースもあった。
全国銀行協会や警察署はそのような連絡を個人にすることはない。むしろ、同協会のホームページ(HP)では、そうした被害に遭わないように注意勧告している。手紙や電話の相手が言ってくることにすぐ従わないこと。時間をおいて、先方が名乗る団体や役所、警察署などに確認してみることだ。電話をかけづらければ、HPを検索してみるだけでも、それが詐欺であることが分かる。
ただ、狙われるのは高齢者。ネットで記事を読んだり、情報を得たりできる環境にある人はまだ少数派だろう。この記事も、高齢の方がどれだけ読んでいただいているだろうか。そこで、日常的にネット環境にある人には、家族や親せき、知人、ご近所など、周囲にいる高齢者と話す機会があれば、こうした情報を伝えてほしい。
お年寄りから「こんな電話かがかかってきたんだけど…」「この手紙は本物なんでしょうか」などと相談された時は、スマホなどで調べて教えてあげるという気持ちを持っていただければ強い抑止力になると思う。
ネットでの情報収集ができなくても、シンプルに対策をすることができる。アポ電強盗対策にも共通するが、(1)不審な電話は警察に通報すること、(2)自動録音機能付きの電話機を設置すること、(3)在宅中も留守番電話にしておくこと。つまり「居留守電話」にしておくことで、すぐには電話に出ないでほしい。この3点を、特に被害に遭いやすい高齢者に認識してもらうことが大切だ。
また、アンケート等の電話がかかってきた場合に、メモを取るようにして頂きたい。全てをメモらなくても、単語をメモするだけでも良いです。メモを取ることにより人は少し冷静になれるものです。新元号が発表されてから改元まで1ヶ月は特に注意をして頂きたいと思う。