【専門家の目】堀ちえみが食道がんを公表 早期なら内視鏡治療だけで治癒も
歌手の堀ちえみ(52)が15日、ブログでステージ1の食道がんであることを公表した。今年2月22日にステージ4の舌がんの手術を受け、3月26日に退院。1週間後にがん告知を受け、この日から再入院した。16日に30分~1時間の内視鏡手術を受け、約1週間入院が続く。今回は舌がんの転移、再発ではないものの、同じ扁平上皮がんという。食道がんについて、兵庫県伊丹市の「たにみつ内科」で診察にあたっている谷光利昭院長に聞いた。
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堀ちえみさんの公表した内容を拝見すると、入院中に胃カメラで食道癌(がん)が発見され、舌がんの転移ではないということでした。その前提で説明します。
食道癌は60代以上の男性に多く、喫煙、飲酒、熱い食事、繰り返す逆流性食道炎が危険因子とされています。特に喫煙と飲酒はリスクを相乗的に増加させます。
嚥下(えんげ、食べ物を飲み込むこと)困難や嚥下時に食道にしみる感じ、体重減少などの症状がありますが、症状が出現したら進行している場合が多いです。
また、癌は食道の内側から発生し、表層近くに血管やリンパ管が発達しているために比較的早期に肺、肝臓などに転移しやすいのも特徴。ただ、最近は特殊な光線を食道にあてることで早期発見が容易となっています。
早期であれば内視鏡だけの治療で治癒することがあります。最近は内視鏡手術が発達しており、広範囲に広がる早期食道癌でも内視鏡的切除がなされています。
通常の食道癌の手術は体への侵襲が大きいのですが、30分から1時間であれば体への侵襲も少ないはずです。早期の回復を心からお祈り申しあげます。