パリっ子涙「私たちの貴婦人」が…ノートルダム寺院燃えた 屋根改修工事に原因か

 パリ中心部の観光名所で世界遺産のノートルダム寺院(大聖堂)で15日午後6時50分(日本時間16日午前1時50分)ごろ、高層部から出火、屋根が炎上する大火災となり、高さ約90メートルの尖塔(せんとう)が焼け落ちた。消火活動で16日に鎮火。捜査当局は同日までに、屋根の改修工事が原因だった疑いがあるとみて作業員らから事情を聴くなどし、出火原因の特定作業を本格化させた。

 ノートルダムとはフランス語で「私たちの貴婦人」。地元民からも観光客からも親しまれた、セーヌ川ほとりの大聖堂が、大火に包まれた。

 寺院は15日午後6時50分ごろに高層部から出火、火は寺院の屋根裏付近から出て、屋根全体や尖塔に広がった。寺院は一部が改修工事中だった。屋根の上に組まれていた工事用の足場周辺から出火した可能性が指摘されている。屋根は関係者が「森」と呼ぶほどオーク材をふんだんに使って作られており、火勢を強めた一因とみられている。

 16日付の大衆紙パリジャンは改修工事の際の溶接作業から火が出たとみて検察当局が調べていると報じた。

 観光客も登れる鐘楼は、消防隊の懸命の消火作業によって焼けずに残った。パリ市当局者は、寺院が保有する宗教芸術など多数の貴重な文化財は運び出されるなどして焼失を免れたとしている。

 ルイ・ヴィトンを手掛けるLVMHはインスタグラムで、今回の火災を「国家的な悲劇」と表現した上で、同氏個人と同社で再建のために計2億ユーロ(約250億円)の寄付を表明した。グッチやイブ・サンローランなど有名ブランドを手がける企業のトップは1億ユーロ(約127億円)を寄付する意向をフランスメディアに伝えた。

 ローマ法王庁(バチカン)は「世界とフランスのキリスト教の象徴が壊れたことに衝撃を受け悲しんでいる」との声明を出した。

 同寺院は、1163年に着工、1345年に完成した。1804年にはナポレオンが皇帝の戴冠式を行った。作家ビクトル・ユゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」の舞台としても知られる。寺院を含むセーヌ川一帯は世界文化遺産に登録されている。ゴシック様式の建築はフランスの美術史上極めて重要な位置を占める。

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