中村壱太郎 祖父・坂田藤十郎が演じた役に挑戦「やりたいと思っていた」

 歌舞伎俳優の中村鴈治郎(60)が24日、都内で行われた東京・国立劇場6月歌舞伎鑑賞教室「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」(6月2日初日)の取材会に出席した。

 鴈治郎は強欲非道な頓兵衛を初役で務めるが「初代(鴈治郎)が頓兵衛をやっているんです。ウチの中でやっている人がいることを知らなかった。驚きました。面白いのでやる気になりました」と経緯を説明。父の坂田藤十郎(87)からは「頓兵衛をやるなら、おかしみがなければダメだ」とアドバイスがあったことも明かした。劇中では「蜘蛛手蛸足(くもでたこあし)」という頓兵衛の独特な動きにも挑戦する。

 長男の壱太郎(28)も初役で頓兵衛の娘お舟に挑戦する。お舟は祖父の藤十郎が演じてきただけに「学生の頃から“やりたい、やりたい”と思っていた。やっと形になった」と笑顔を見せた。その意気込みを示すよう、祖父が1974年3月に東京・明治座で披露したお舟の“人形振り”という演出に45年ぶりに挑戦する。

 壱太郎は「祖父にすべて習いたいところではありますが、0から100まで教えてくれる人ではないので、いろいろな意見を聞いて役を作っていきたい」と力を込めた。

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