ゴーン被告再び保釈 今回はスーツ姿で 保証金さらに5億円
東京地裁は25日、会社法違反(特別背任)の罪で追起訴された前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(65)の保釈を再び認める決定をした。東京地検特捜部は準抗告したが、棄却され、ゴーン被告は同日夜、東京拘置所から保釈された。保釈保証金は5億円。地裁は妻キャロルさんと接触することを禁止する異例の条件を付けた。関係者によると、証拠隠滅の恐れはあると判断した上で、公判準備への影響や健康状態などを重視して保釈を認めたという。
前回は作業着を着込んだ変装での保釈だったが、今回はノーネクタイのスーツ姿。弁護士と共に、横付けされていたワゴン車に堂々と乗り込んで拘置所を後にした。言葉は無かったが、足取り、表情ともにしっかりとした様子だった。
弁護団の弘中惇一郎弁護士によると、保釈に当たって地裁は裁判所の許可を得ないで妻キャロルさんと接触することを禁止する条件を付けた。家族との接触禁止が保釈の条件となるのは異例。弘中氏は地裁決定について、取材に「良かったと思う。検察側が激しく反対したので不安もあった」と話した。
地検の久木元伸次席検事は「被告が事件関係者に対する働き掛けを企てていたと認め、罪証隠滅の疑いがあるとしながら、保釈を許可したのは誠に遺憾だ」とのコメントを出した。検察が裁判所の保釈判断にコメントするのも異例のことだ。
弘中氏によると、キャロルさんとの接触禁止以外に、海外渡航の禁止や携帯電話の使用制限など3月6日にいったん保釈された時と同じ条件が付いた。1回目の保釈で10億円の保証金を納めており、今回と合わせて15億円になった。
特捜部は今月22日、中東オマーンの販売代理店に支出させた資金を私的に流用し、日産に約5億5000万円の損害を与えたとして、特別背任罪でゴーン被告を追起訴。弁護人が改めて地裁に保釈を請求していた。
特捜部は、資金の一部がキャロルさんが代表を務める会社に流れたとみて、地裁に初公判前の証人尋問を請求。今月11日に非公開で実施された。