仲邑菫初段 37歳女流棋士からプロ初勝利 緊張なし!攻めて攻めて攻めまくった
囲碁の史上最年少プロ棋士、仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(10)が28日、大阪・日本棋院関西総本部で、同本部所属の40歳以下棋士によるトーナメント戦「第2回若竹杯」に出場。1回戦で27歳上の種村小百合二段(37)を破り、非公式戦ながらプロ入り後の初勝利を決めた。2回戦では同門の村松大樹六段(30)に敗れたが、うれしい白星をつかんだ。
椅子に座った足が地面に届かないため、台を用意して対局した仲邑初段が、碁盤より小さな体で、大きな大きな1勝を刻んだ。
1回戦対局後は「うまく打てた。勝ててうれしい」とはにかんだが、プロ入り後の勝利がよほどうれしかったのだろう。対局場があるビルの廊下では、スキップしていた。
27歳年上のベテラン女流棋士が脱帽した。持ち時間1時間30分の切れ負けで行われたトーナメント初戦の相手は、03年にプロ入りした種村二段。互角の勝負を繰り広げると、不用意な一手を見逃さなかった。
対局に立ち会った後藤俊午常務理事(九段、52)は「一気に攻勢に出た。攻めて攻めて攻めまくった」と振り返る。167手で種村二段が投了し、中押し勝ち。種村二段は「読みもしっかりしていて、スキがなかった。強かった」と実力を認めた。
22日の公式戦初戦では、100人の報道陣が殺到。緊張して、うまく打てなかったと首をかしげた。2戦目となるこの日は非公式戦にもかかわらず、40人が仲邑初段の一手に注目。カメラのシャッター音にも動じず「緊張しなかった。対策?別に…」と強心臓ぶりを見せつけた。
準々決勝では、父・仲邑信也九段(46)門下の村松大樹(ひろき)六段(30)と対戦した。一時は優勢だったが、村松六段が兄弟子の意地を見せた。菫初段は「ちょっとくやしい…」と小さい体をくねらせた。
くしくも同門対決となったが、信也九段は「(ハラハラして)とても見ていられない」と愛娘の対局を見届けなかった。父不在にも関わらず、あと2日で終わる平成の最後に1勝をつかんだ10歳の天才少女。令和での飛躍へ確かな一手を打った。