遠藤ミチロウさん死去 原発事故に静かな怒り 政治的発言もいとわず
パンクバンド「ザ・スターリン」のボーカリストで知られたミュージシャンの遠藤ミチロウ(えんどう・みちろう、本名道郎)さんが4月25日、膵臓(すいぞう)がんのため東京都内の病院で死去した。68歳。福島県出身。葬儀・告別式は近親者で行った。後日、音楽葬を開く予定。デイリースポーツの芸能担当がその人柄をしのんだ。
◇ ◇
遠藤ミチロウさんにインタビューしたのは2016年1月の新宿で、細身で若々しい容姿はスターリン時代から変わらず、お目にかかると穏やかで温かみのある人だった。
ミチロウさんは福島出身、母チエさんは福島在住で、初めて監督したドキュメンタリー映画「お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました」には、製作開始から5カ月後に発生した東日本大震災と福島第一原発事故がビビッドに反映されていた。
「何も解決していないのに、矛盾しているところは隠ぺいされ、忘れられている。福島のことなんかなかったようにされている」と静かに憤っていたミチロウさん。日本ではミュージシャンの政治的な発言がタブーのようになっているが「自分の考えを出すのは当然じゃないですか」と明快だった。音楽活動も充実しており、長生きしてほしかった。
ところで、ミチロウさんは虎党なのだという。優勝の暁には祝福コメントをと約束したが、果たせないままになってしまった。