京マチ子さんが死去、心不全、95歳「羅生門」「雨月物語」密葬済ませる
映画「羅生門」などに出演した戦後の日本を代表する女優、京マチ子(本名・矢野元子=やの・もとこ)さんが12日午後0時18分、心不全のため入院していた都内の病院で亡くなったことが14日、分かった。かねて療養中だった。東宝が発表した。95歳。大阪出身。
1924年3月25日生まれ。小学校を卒業後、大阪松竹歌劇団をへて49年に大映入社。同年、安田公義監督「最後に笑う男」でデビューした。
初めは歌劇団で鍛えた均整の取れた肉体美が売り物だったが49年の木村恵吾監督「痴人の愛」あたりから演技に開眼。ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した黒澤明監督「羅生門」で盗賊に襲われながらも反抗する女性を堂々と演じ、世界的に注目された。
映画の主な出演作に、溝口健二監督のベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作「雨月物語」、吉村公三郎監督「偽れる盛装」、衣笠貞之助監督のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作「地獄門」、マーロン・ブランドの相手役を務めたハリウッド映画「八月十五夜の茶屋」などがある。
東宝の「喜劇離婚」、「大家族」など数々の舞台にも出演。最後の舞台は2006年9月、橋田壽賀子氏作、石井ふく子氏演出作品「女たちの忠臣蔵」での瑶泉院役だった。
遺志により、石井氏ら数名の友人の立ち会いで、14日に密葬を済ませたという。石井氏によると、数年前に京さんが元気だった頃に大好きなハワイへ行き、自ら手配したお墓に入るという。