１９日に腎不全のため６８歳で死去した元吉本新喜劇座長で喜劇俳優の木村進（きむら・すすむ、本名同じ）さんの通夜が２１日、大阪市内でしめやかに営まれた。二代目博多淡海さんを父にもち、２３歳の若さで新喜劇座長に就任した木村さんとの別れには、名コンビとしてファンを沸かせた間寛平（６９）、池乃めだか（７５）、元吉本新喜劇座長で元大阪市議の船場太郎氏（７９）ら関係者１００人が参列した。

　悲しみをこらえながら、寛平が５０年来の盟友との思い出を語った。２０代のころは木村さんの新婚家庭に入り浸り、共演したＭＢＳテレビ「モーレツ！！しごき教室」などで人気を集めた。８８年に脳内出血を患い、左半身が不自由となって車イス生活となった木村さんの元を年に３回は訪れていたという寛平は「残念ですよね」と口を開いた。

　寛平は昨年１２月に木村さんが暮らす施設を訪問。今年１月にも同所を訪れていた。「そのとき（１月の訪問時）、いつもなら『寛平ちゃん』って声を掛けてくれるのに、僕のことが分からんようになってて…」と回想。亡くなる前日の１８日も、夫人と共に入院先を見舞ったといい「ずっと声を掛けたんですけど、会話はなかったですね」と寂しそうに明かした。訃報は、喪主を務める木村さんの妹・龍子さん（６７）から電話で伝えられた。

　寛平にとって木村さんは恩人であり、かけがえのないパートナーだった。自身より半年後に木村さんが吉本入りした際、寛平は辞める寸前だった。しかし、著名な博多淡海の息子である木村さんから「僕について来てくれ。一緒に頑張ろう」と言われ、残留を決意。現在の活躍につながった。

　芸人・木村進を「芝居に対してすごい熱い人やった。踊りもできた」と称賛。そして、「めちゃめちゃもててました」と懐かしそうに明かした。最後のきちんとした会話は３年ほど前だった。「また一緒にやりたいというのは、ずっと言ってました」。特に、木村さんの指示通りに２人で披露して爆笑を取ったことがある郷土芸能「博多にわか」の再演を熱望していたという。

　「（３０年間は）本当につらかったやろなと思う」。３８歳の若さで病に倒れた人気者は、寛平と２人で立つ舞台への思いを最後まで抱いていた…。