安倍晋三首相とトランプ米大統領は２７日の首脳会談で、日米貿易交渉に関し、早期妥結へ協議を加速させる方針で一致した。トランプ氏は会談後の共同記者会見で、日本が交渉の土台とする環太平洋連携協定（ＴＰＰ）について「縛られない」と述べ、自動車分野などでの譲歩を否定した。

　８月決着を念頭に「近く何らかの発表ができる」とも述べ、貿易不均衡の是正に意欲を示した。２６日の来日から、ゴルフ、大相撲観戦、居酒屋接待と“おもてなし尽くし”を受けたが、肝心の会談では、しっかり安倍首相にプレッシャーを掛けた。

　一方、安倍首相は、北朝鮮による拉致問題解決へ金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党委員長と前提条件なしで会談を目指す方針を伝え、トランプ氏は全面的に支持した。

　首相は会見で、日本企業による対米投資が増加していると指摘し「世界で最も米国経済に貢献しているのは日本企業だ」と強調。「日米がウィンウィン（相互利益）となる形の早期成果達成に向けて、議論を加速させることで一致した」と明らかにした。

　北朝鮮への対応をトランプ氏と綿密に擦り合わせたとして「日米の立場は完全に一致している」と明言。日朝会談に関し「１回の会談で解決できるかどうかに関わりなく、問題解決へ全力を傾ける」と述べた。

　トランプ氏は拉致問題について「被害者を取り戻す努力を米国は支援する」と表明。北朝鮮に非核化を促した。

　両首脳は、６月に大阪で開かれる２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会合の成功に向けて緊密に連携する方針で一致。日米が共有する「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を目指し、オーストラリアやインドなどとの協力を拡大させると確認した。