須田慎一郎氏が指摘…安倍政権は本当に消費増税に踏み切れるか
はっきり言って経済専門家の予想は、大きくハズれることとなってしまった。
今月20日、内閣府から今年1~3月期のGDP(国内総生産)統計の速報値を発表した。その結果は、物価の変動を除いた実質ベースで、前期比0・5%増となったのだ。この数値を年率に換算すると2・1%増となる。
見かけ上は、その数値がプラスになったことで、とりあえず経済は成長し、景気は良くなっていることになる。民間の専門家の予想の平均値は、マイナス0・9%。まったくかすりもしなかったのだ。
そして、こうした“数値”が出たことで、今年10月に予定されている消費税増税が景気後退を受けて延期されるのではないか、という世の中の期待はいったん萎(しぼ)んでいくこととなった。
しかし本当に景気は良くなっているのだろうか。筆者の見方はまったく逆、むしろ景気は悪くなりつつあると見る。
確かに「前期比0・5%増」とプラス成長の数値が出たことは間違いない。しかしこれは、ある意味で数字のマジックでしかない。
それというのも、この時期の日本経済は輸出が減少したものの、さらにそれを大きく上回る形で輸入が大きく減少したために、GDPを構成する「純輸出」の項目が前期比でプラスになってしまったために、全体でプラスとなっただけなのだ。
輸出や輸入が減少している状況が、果たして景気がいいと言えるだろうか。日本経済は、いずれ近い将来、間違いなくマイナス成長、つまり景気悪化に向かうはずだ。そして、その最大の要因となるのが、中国の景気減速だ。
激化の一途をたどる米中貿易戦争は、確実に中国経済を蝕んでいくことになるだろう。そして日本経済はそのマイナスの影響をモロにかぶることになる。
こうしたことが予想される中、安倍政権は本当に消費増税に踏み切るのだろうか。(ジャーナリスト・須田慎一郎)