【横山たかしさん悼む】師匠・やすしに殴られても平然 ファンを大事にする人

 漫才コンビ、横山たかし・ひろしの横山たかしさん(本名・山高孝)が1日午前3時51分、多臓器不全のため大阪市内の病院で死去していたことが2日、分かった。70歳だった。「すまんのぉ~」などのギャグと大金持ちのおぼっちゃまキャラで人気を博した横山たかしさん。放送作家で演芸評論家の古川嘉一郎さんが故人を偲んだ。

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 ちょっと体の具合が悪いとは聞いていた。この数年、テレビにも登場していなかったので気にはなっていた。

 愛媛県松山の生まれ。来阪して松竹新喜劇の曽我廼家明蝶が主宰する俳優養成所・明蝶学院に通いながらサウナ風呂従業員としてアルバイト。同学院で知り合った横山ひろしとコンビを組み、あの横山やすしの門下生となる。

 昭和43年に新花月でデビュー。最初は“おかま漫才”という異色性を発揮していたが、次第に芸風を変え“ほら吹き漫才”というスタイルを定着させ、大金持ちのお坊ちゃんというキャラで人気を博した。派手な衣装は売り物だった。

 相方の横山ひろしが機敏に動くのに対し、たかしはおっとり構えるボケ役だった。

 何かのイベントでプロ野球の福本豊さんと一緒になった時、嬉しそうに福本さんにサインをねだっていたのを覚えている。人懐こい性格で、会えばいつでも大きな声で「こんにちは」と笑顔で応接してくれた。

 師であった横山やすしからよくハンガーで殴られていたのは要領の悪いたかしだった。「怒られてばかりですわ」と、それでも平然としていた。

 私生活では普通人という印象でファンを大事にする人だった。今一度、元気な姿で舞台で思い切りほらを吹きまくってほしい漫才師だった。

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