慰安婦テーマの映画「主戦場」のデザキ監督が反論「慰安婦問題を塗り替えようとしている」
旧日本軍の慰安婦問題をテーマにした、公開中のドキュメンタリー映画「主戦場」のメガホンを取ったミキ・デザキ監督(35)が3日、都内で会見を実施。同作中でインタビューに答えた藤岡信勝氏(74)ら保守派の論者から、違法行為に当たると抗議されたことについて反論した。
藤岡氏らは5月30日に都内で会見し、「大学院生の学術研究に協力したつもりが、保守をたたくプロパガンダ映画になっている。だまされた」と抗議。ケント・ギルバート氏、櫻井よしこ氏ら7人の連名で映画の上映差し止めを求め、法的手段を検討していることも明かした。
デザキ氏側はこの日、出演者と交わしたとされる承諾書および合意書を公開。「ドキュメンタリー映画に関する書類。一言も、学術プロジェクトであるということは書かれていません。『映画』と記されています」と強調した。
承諾書には「制作者またはその指定する者が、日本国内外において永久的日本映画を配給・上映または展示・公共に送信し、または、本映画の複製物(ビデオ、DVD、またはすでに知られているその他の媒体またはその後開発される媒体など)を販売・貸与すること」と記されていた。また、デザキ監督は、一部の出演者とは個人的にメールのやりとり等で、映画を公開することを知らせていたと主張した。
さらに、保守派論者に向け、「歴史修正主義者のレッテルを貼られたと憤慨しているが、『ある人からは歴史修正主義者否定論者と呼ばれる』とした。世界的に学問の世界ではそう呼ばれている。彼らは、世界的にコンセンサスが取れている慰安婦問題を、積極的に塗り替えようとしている」と持論を展開。
加えて、「どんな映画も記事も、客観的ではあり得ません。一番説得力のある意見と反論を入れたということで、この作品はフェアだと思います」と説明。さらに「最終的には、私の結論がどういうものか、どのような経緯でそこに至ったかは明確なので、これはプロパガンダ映画ではない」とキッパリ。「この透明性がありますから、観客は結論に同意することも同意しないことも自由にできるのです」と話した。
同作は、デザキ監督が上智大院生時代に、保守派の論客や元慰安婦の支援団体、研究者など、日米韓の30人以上に行ったインタビューで構成。「強制連行」の有無や、当時の慰安婦の立場などの論点で、それぞれの主張と反論を紹介している。