朝ドラ「芋たこなんきん」で田辺聖子さん役・藤山直美「大変驚き、また寂しく…」

 芥川賞受賞作「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」や「ひねくれ一茶」をはじめ、人生や男女関係の機微を軽妙な筆致でつづったユーモア小説などで知られる作家で、文化勲章受章者の田辺聖子(たなべ・せいこ)さんが6日午後1時28分、胆管炎のため神戸市内の病院で死去していたことが9日、分かった。

 2006~07年、田辺さんの半生がモデルのNHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」が放送された。ヒロインを演じた女優・藤山直美(60)は「大変驚き、また、淋しく思っております。聖子さんのお役をさせて頂きました事は私の中では感慨深い思い出になりました」と追悼した。

 夫役で、その後も親交があった俳優・國村隼(63)は「勝手に先生は百歳まで長生きされると思っていましたので、一報を聞いて驚くというより虚をつかれたというのか、不思議な拠り所のない気持ち」と吐露。「撮影中もその後も、お酒を提げておたずねし、先生の興がのったときには歌や踊りも飛び出して、少しだけカモカのおっちゃんの代わりになれたかな?と」と思い出を語った。

 宝塚の元トップスターで、田辺さん原作の「新源氏物語」(89年)に主演した剣幸(65)は「いつまでも可愛らしい少女の心をお持ちの、天使のような方でした」としのび、「通し稽古をご覧になったあとのあの満面の笑顔に、再演のプレッシャーも飛ぶほどの、とてつもなく大きな勇気をいただきました。あの時、先生とお話しさせていただいた時間は、私の宝物です」と同作の思い出を語った。

 田辺さんの「甘い関係」が原作の朝ドラ「おはようさん」(75~76年)でヒロインを演じた女優・秋野暢子(62)は「大阪弁でとても優しく『頑張ってちょうだい、応援してるよ~』と励ましてくださった」と、制作発表の日を振り返った。

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