「紳助の教訓」生かせず…吉本も「アウト」か コンプライアンス研修の効果に疑問
お笑いコンビ・雨上がり決死隊の宮迫博之(49)ら、吉本興業所属の芸人11人が24日、同社から無期限謹慎処分を下された。すでに契約を解消されたカラテカの入江慎也(42)を通じ、2014年12月の大規模詐欺グループ忘年会など、反社会的勢力のパーティーに出席。事務所を通さずに仕事をする闇営業の形で関与したことで厳重注意処分を受け、この日までに「一定の金額を受領していた」ことが判明した。
吉本興業では、島田紳助氏(63)が、2011年8月に暴力団関係者との交際が原因で、引退を表明した。会見で「その筋の交際がいけないのは知っていたが、人と人との付き合いをしていた。自分の中ではセーフと思っていたが、芸能界のルールとしてはアウトだった」と涙。“平成の視聴率王”の異名を取った紳助氏の突然の引退は、テレビや広告業界に大打撃を与えた。
それから8年、吉本興業は「反社会的勢力との交際は何があっても許さない」とし、タレントからスタッフに至るまでコンプライアンス研修を徹底。それでも“闇営業”という形で問題は発生した。
吉本興業所属のたむらけんじ(46)は同日、大阪・MBSテレビの情報番組「ミント!」(月~金曜、後3・49)に出演。「うそついたらあかんねん。悔しい…」と、仲間たちの不祥事に涙を流した。社内のコンプライアンスに関しては、若手、ベテランを問わず、会社の法務部から「反社会勢力が近づいてきます。付き合わないで下さい」などと指導されると明かした。
「FRIDAY」の報道を受け、当該芸人を起用していたテレビ各局は、番組の差し替えなど具体的な対応を見せず静観。だが、一部の番組製作会社のスタッフは、当該芸人を新たに起用しないように指示されていたと証言するなど、リスク回避の動きは広まっていた。実際の動きとして、宮迫が司会を務める「アメトーーク!」では、複数の企業がCMを取り下げ、ACジャパンの広告に差し替わるなど、吉本側にも対応が求められていた。
言うまでもなく問題なのは、事務所を通さず直接クライアントと仕事をしたことではなく、クライアントが反社会的勢力であったこと。その意味では、紳助氏引退騒動の教訓は、生かされているとは言い難い。表面的な研修に、いかほどの意味があったのか。その後も芸人の不祥事は少なからず起こっているだけに、抑止力としての効果にも疑問を持たざるを得ない。