千葉県野田市立小４年の栗原心愛さん＝当時（１０）＝が１月に死亡した虐待事件で、傷害ほう助罪に問われた母なぎさ被告（３２）に千葉地裁は２６日、保護観察付き執行猶予判決を言い渡した。ドメスティックバイオレンス（ＤＶ）被害を認定しつつ「母として心愛さんを守る義務を怠った」と非難。父勇一郎被告（４１）＝傷害致死罪などで起訴＝が行政機関に高圧的な態度で恐怖を与え、虐待が表面化しなかったとも指摘した。

　小池健治裁判長は、なぎさ被告が虐待を容認した理由を「家族関係の存続を図るため、苦しむ子から目を背けた」と批判。その上で双極性障害の影響もあり精神的に脆弱（ぜいじゃく）で、周囲に相談相手もなく孤立し「支配的言動を重ねる勇一郎被告の意向にあらがうことが困難だった」と判断した。

　判決は勇一郎被告が学校や野田市教育委員会、県柏児童相談所に「自己の行為を正当化する高圧的な言動を繰り返した」と非難。心愛さんと児相職員の単独面談をさせず、その後の「虐待が把握されなかった」との見方を示した。なぎさ被告には、一時保護の経過を踏まえれば「警察や児相への通報が容易に思いつくはずだ」と述べた。

　勇一郎被告は１月２２～２４日、下着姿の心愛さんに冷水シャワーを掛けるなどの暴行を加え、十分な食事や睡眠を与えず飢餓と強いストレスで衰弱させ、死なせたとして起訴されている。なぎさ被告への暴行罪にも問われている。