BPO「イッテQ」やらせ疑惑「放送倫理違反」と判断 ナレーション誘導も問題視
放送倫理・番組向上機構(BPO)は5日、都内で会見し、人気企画の海外ロケにおけるやらせ疑惑が報じられた日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」(日曜、後7・58)に対する審議結果を発表し、「程度は重いとは言えないものの、放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した」と断じた。日本テレビにも通告した。
BPOは会見で、週刊文春の報道でやらせ疑惑が指摘された昨年5月20日放送「ラオス・橋祭り」に、17年2月12日放送の「タイ・カリフラワー祭り」を合わせた2件について、「2つの祭りは番組のために現地で用意したものであった」とした。
問題点として挙げた要点は以下の2つ。
(1)現地コーディネーターによる、2つの祭りのリサーチからロケの実施までの過程を、制作スタッフがほとんど把握していなかった。
(2)用意した祭りであることを隠蔽する意図は確認できなかったが、このコーナーが始まったかなり初期の段階から、それぞれの祭りについて十分な確認をしないままに「年に1度の」「前年王者」「今年も優勝の呼び声高い強豪」などと、実際とは異なるナレーションやスーパーをかぶせていた。
BPOは会見で(1)に関しては「制作過程が適正に保たれていなかった」。(2)に関しては「ナレーションによる、視聴者誘導」と指摘した。
この問題は、タレント宮川大輔(46)が世界の珍しいお祭りに参戦する人気シリーズ「祭り企画」のひとつで、昨年5月20日に放送されたラオスの「橋祭り」に関し、同11月8日発売の週刊文春が、実際には開催されたことのない祭りを番組サイドがでっち上げ、セットの設置などが行われたとの疑惑を報じた。
日本テレビは週刊文春の発売日と同時にでっちあげを否定する文書を発表した。
しかし、1週間後に大久保好男社長が会見して同企画の休止を発表。やらせ意図は否定する一方で、番組側から祭りの開催費用や参加者への賞金支払いなどがあったことを認めた。BPOは今年1月に同問題に関して審議入りすることを決定。番組に放送倫理上問題があったかどうか、関係者からヒアリングするなどして制作過程を調査していた。
日テレ側はBPOの判断に対し、「本日のBPОの意見を真摯に受け止め、今後の番組制作にいかしてまいります」とのコメントを発表した。