是枝裕和監督 新作「真実」ベネチアで大絶賛 日本人初オープニング上映飾った
世界三大映画祭の一つ「第76回ベネチア国際映画祭」が28日(日本時間29日)、イタリア北部で開幕し、是枝裕和監督(57)の最新作「真実」(10月11日公開)がオープニング上映を飾った。上映後は、6分間に及ぶスタンディングオベーションが巻き起こり、海外メディアの評価もうなぎ登り。最高賞「金獅子賞」を競うコンペティション部門に出品されており、昨年、「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを獲得したのに続き、2年連続の栄冠に期待がかかる。
快晴のレッドカーペットにアルマーニのタキシード姿で降り立った是枝監督。サイン攻めに遭いながら、赤のド派手コートに身を包んだ主演のカトリーヌ・ドヌーヴ(75)やジュリエット・ビノシュ(55)をエスコートし、1000人が待つ会場へ足を踏み入れた。
上映が始まると、是枝監督が描き出す美しい映像や、わがままだが憎めない主人公の姿に観客はくぎ付けに。しっとりとしたエンディングとは裏腹に、上映後には6分間に及ぶスタンディングオベーションで会場を喝采が包んだ。
大歓声を全身で受け止めた是枝監督は開幕上映という同映画祭において日本人監督として初の栄誉を果たし、「オープニングは映画祭のスタートを決める大役。役割は果たせたかなと思います」と胸をなで下ろした。
是枝監督は、昨年のカンヌでパルムドールを受賞し世界の注目の的に。海外メディアからは「仏映画のように見えるのに仏映画ではないという点が興味深かった」「コレエダは天才」と絶賛の声が早くも飛び交っている。
初日にして金獅子賞の有力候補に躍り出た形になるが、是枝監督は「僕はオープニングで満足」と控えめ。それでも、「評価をしていただけることがあるのでしたらうれしい」と手応えも隠さなかった。
「真実」は、大女優(ドヌーヴ)とその娘(ビノシュ)の確執を描くヒューマンドラマ。主要賞は9月7日(日本時間8日)の授賞式で発表される。