オダギリジョー ヴェネツィアのレッドカーペット登場「すごい映画。攻めてる」
俳優のオダギリジョーが中国を代表する女優のコン・リーと共演した映画「サタデー・フィクション」が4日(日本時間5日)、イタリアで開催されている第76回ヴェネチア国際映画祭で世界初上映され、公式記者会見が行われた。
映画は世界の諜報(ちょうほう)員が暗躍していた1949年代の上海を舞台に、実在した蘭心劇場で巻き起こる愛と謀略の物語を描いており、監督は巨匠ロウ・イエ。
公式上映を終えたオダギリは「すごい映画でした。音楽も一切使わず、ほとんどがハンディカメラでしかも白黒。今までにないタイプの映画と言えるんじゃないでしょうか。刺激を受けました。僕も監督として(同映画祭出品作の)『ある船頭の話』では挑戦的な映画を作ったつもりだったが、『サタデー・フィクション』も攻めてる。やはりこびてないロウ・イエのカッコよさを改めて見たなと思いました」と語った。
会見にはロウ監督、コン・リー、オダギリ、中島歩、独俳優トム・ヴラシア、仏俳優パスカル・グレゴリー、台湾の俳優マーク・チャオらが出席。
ロウ監督は「第2次世界大戦中という設定で、世界背景がとても混乱しています。個人個人にカメラをフォーカスしたいと思い、ぼやけた、スモーキーな映像で撮影しました。多くの言語が出てくる作品なので、撮影中、撮影後と、いろいろな人のサポートがありました。さまざまな言語の中でバランスをとるのがとても大変でしたが、監督の仕事はそのバランスを保つこと。すばらしい俳優たちによって、そのバランスが保てた」と語った。
コン・リーは「最初に脚本を読んだ時、とてもやりがいのある役だと思いました。読み終えるのに1週間かかりました。複雑な役ですが、その複雑さをロウ・イエ監督は説明してくれました。この役はスパイでありながら、フェミニンな側面も持ち合わせています。ラストシーンの銃撃戦では、殺人者の側面も出てきます。彼女が持つ愛や温和さを表現したいと思いました。ロウ・イエはそれを助けてくれました」と、ロウ監督に感謝。
中島は「学生の頃にロウ・イエ監督の作品『スプリング・フィーバー』を見て彼のファンになって、映画の世界に入るきっかけのひとつになりました」と明かしていた。