市川由紀乃、岩手・宮古のため 復興応援歌2曲を初披露
2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた岩手・宮古市の「復興親善大使」に選ばれた演歌歌手・市川由紀乃(43)が15日、同市で行われた任命式に出席。同市内でのみの販売が決まっている復興応援歌2曲を初披露した。市民の熱烈な思いを受けて大使を務めることになった市川は「歌い手として使命を感じた」と燃えている。この日は、同市で開催された「みやこ秋まつり」にも参加し市民との絆を深めた。
宮古市で初めての復興親善大使就任は地元の熱烈オファーがきっかけだった。市川は2002年4月から、心身の不調で4年半、活動を休止。再開後の16年に念願だったNHK紅白歌合戦に初出場を果たした。
転んでももう一度起き上がって懸命に生きる市川に、自らの姿を重ね合わせた市民の要望に応える形で応援歌を歌うことが決定。絆が深まったことで、大使就任も求められ、市川も快諾した。
この日、披露した応援歌は「三陸宮古音頭」と「宮古魚介(うお)づくし」の2曲。同市出身の中坂幸藏氏が作詞を担当し、方言やご当地ワード満載の楽曲になっている。
完成したばかりで「できたてホヤホヤでございます」と歌詞カードを確認しながらの熱唱。振り付けもまだ決まっておらず、「みなさんと踊りたい」と宮古テイストを取り入れる構想を明かし、集まった1200人を笑顔にした。
2曲は10月25日から市内を中心に販売される予定。全国的な発売は未定だが、まずは市民の手に届く形となる。
「みやこ秋まつり」では、船山車「由紀乃号」に乗り、宮古の街を“巡航”。呼びかけに応えながら大きく手を振り、市民との距離をさらに縮めた。
未曾有(みぞう)の大震災から8年半。市川は、「皆さんの心の痛みは計り知れないものがある」と改めて振り返り、「『一期一会』って言葉が大好きなんです。すばらしいご縁をつくっていただいた」と宮古市との出会いに感謝した。