関電役員金品受領1億円超2人 小判や菓子折りの中に商品券…原発推進者と異常交際
関西電力の役員ら20人が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から金品を受領していた問題で、関電は2日、調査報告書を発表した。受領した金品の総額は3億1845万円相当で、現金のほかスーツ券や金貨、小判形の金などもあった。最多は鈴木聡常務執行役員の1億2367万円で、豊松秀己元副社長の1億1057万円が続いた。原子力事業本部で幹部を務めた2人で全体の7割超を占めた。氏名公表は12人にとどまり、調査当時に役員や組織の長でなかった8人は非公表だった。
関電と原発村の有力者の、長年に渡る異常な交際の実態が明らかになった。
森山氏から関電幹部への金品受領は慣例的に行われていた。個人で管理し、タイミングを見計らって返却するよう幹部らが口頭で対応を引き継ぎ共有していた。関係者は「退職時にまとめて返そうと考えていた人もいた。保管のために金庫を用意していたケースもあった」としている。
金品の内訳は、現金が計1億4501万円、商品券が計6322万円、金貨が計365枚で計4949万円相当、スーツ仕立券が75着分で計3750万円相当、米ドルが計1705万円相当、金杯が計8セット計354万円相当、金500グラム240万円相当、小判形の金計3枚計24万円相当だった。
社内では疑問を呈する声もあったが、結果として八木誠会長(69)ら20人が総額3億2千万円相当を受領することになった。八木氏は森山氏による金品の提供が東日本大震災後にエスカレートしたと説明。森山氏について国会議員に広い人脈を有し、意に沿わないことがあると「発電所を運営できなくしてやる」とどう喝したという。
関電の原子力事業本部には森山氏との連絡窓口となる担当者がおり、面会などの日程調整をしていたという。
森山氏と年1、2回、京都の繁華街で開かれた懇談会などで会った際、菓子折りに入った商品券を受け取った関電元役員は取材に対し、退職時に一括して返したと説明。最初に受領した際に返却を申し出たが「受け取れないのか」と、高圧的な態度で迫られた。「代々の人たちが、どうすればいいのか先輩らに聞いてきた」と話した。元役員は「(森山氏は)原発推進のために力を尽くしてくれた。一種の恩人という認識で会社として頭が上がらなかった」と振り返った。