中山仁さん死去 ドラマ「サインはV」で鬼コーチ 事務所にも知らせず闘病
大ヒットしたスポ根ドラマ「サインはV」の鬼コーチ・牧圭介役で知られた二枚目俳優の中山仁(なかやま・じん、本名中山仁平=なかやま・じんぺい)さんが10月12日午後5時25分、肺腺がんのため東京都内の自宅で死去していたことが11日、所属事務所から発表された。77歳。東京都出身。故人の遺志で葬儀、お別れ会は行わず、公表も控えていたが、亡くなって1カ月たったこの日、遺族と相談の上で報告するに至ったという。
所属事務所によれば、中山さんは2012年頃まで舞台、17年頃までCMの仕事を続けていた。2~3年ほど前、膝が悪くてリハビリしていると話し、仕事を控えていたという。事務所にもがんのことを知らせず闘病していたといい、二枚目で鳴らした中山さんらしい美学を貫いたかのようだ。
中山さんは早稲田大学政経学部を中退し、1965年に文学座養成所入り。文学座から分裂した劇団「NLT」をへて68年、三島由紀夫らと浪漫劇場を設立し、70年の解散まで所属した。
彫りが深く上品な顔立ちの二枚目で、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。69年10月5日から70年8月16日まで全45回が放送されたバレーボールドラマ「サインはV」は平均視聴率32・3%、最高視聴率39・3%を記録し、社会現象となった。
殺し屋役で主演した映画「囁きのジョー」(67年)は現在でも人気が高く、東映ヤクザ映画「バカ政ホラ政トッパ政」(76年)では故菅原文太さん、故ケーシー高峰さんとトリオを組んだ。
「ウルトラマン80」、NHK連続テレビ小説「純情きらり」などのドラマや新派の舞台「女の一生」などに出演。「コンタック」のCMでのコミカルな役柄でも人気を博した。