押尾コータロー クリスマスは「ぜいたくなゲストと、一回こっきり」SPライブ
日本を代表するギタリスト、押尾コータローが12月8日に東京・Bunkamuraオーチャードホール、12月20~22日に大阪・なんばHatchで恒例の「クリスマス・スペシャルライブ2019」を行う。東京ではストリングスの柏木広樹カルテット、大阪では初日から順にR&BユニットのSkoop On Somebody(以下SOS)、ピアニストの梁邦彦、ギターデュオのDEPAPEPEがゲスト。一人で演奏する普段とは異なる、特別な公演に向かう心境を聞いた。
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2019年は、出会いの年だった。
2月に2年3カ月ぶりのオリジナルアルバム「エンカウンター」を発表。梁やウィンダム・ヒルで知られる米ギタリストのウイリアム・アッカーマンをゲストに迎え、タイトル通り出会いを感じさせるアルバムだ。
また、中国公演も多く行い、「出会いというか、中国がすごく近い感じになりました」と振り返る。最初は「色んなギタリストが来てる中の一人」という反応だったのが、最近は「押尾の曲は特別です!とか、僕の人生を変えました!とか、日本の音楽観を変えてくれる気持ちになったとか、日本の人が持ってくれるような感動を持ってくれるようになった」という。
クリスマスライブは08年、大阪・サンケイホールブリーゼのこけら落としとして始まった、本人も「特別な思いがある」公演だ。ゲストを招いていつもとは異なる顔を見せてきており、これも出会いが重要なライブといえる。自身が大阪出身とあって、東京では「僕の思っている東京のオシャレな感じ、洗練された」イメージ、地元では「ヒューマンな」イメージを意識して臨みたいという。
ゲストは多彩だ。
柏木はG-CLEFのメンバーとしても知られるチェリスト。押尾作品のレコーディングに参加、アレンジも手がけるなど、「僕のことをすごく分かっている。どうやってギターを生かすか天下一品」という、気心の知れた間柄だ。
同郷のSOSは「レーベルメイトで大先輩」。押尾やDepapepeらが出演する北海道のテレビ局HTBのイベント「夢チカLIVEクリスマスSP」にSOSが最近加わり、「一緒にやるように」なった。今回「歌と楽曲が素晴らしくて魅了され、トシも近いし、一緒にできたらいいなという思いが強くなって」実現したもので、同世代で「気持ちが楽になる」といい、「渋くやりたい」と楽しみにしている。
日韓を往来し、ソロ、バンド、劇伴など幅広く活躍する梁は、ソチ五輪閉幕式、平昌五輪開閉幕式の音楽監督として世界的に知られる。「エンカウンター」では「久音-KUON-feat.梁邦彦~ジョンソンアリラン変奏曲~」で共演。ピアノとギターで「情感豊かに感じられる、二人だけの音世界」が展開されるだろう。
Depapepeは関西出身でレコード会社も同じ、18年秋には共演アルバムも出し、「ゲストで呼び合い」と、直系の後輩といっていい。クリスマスライブでも「準レギュラー」的な存在で「一番クリスマスっぽく」リラックスしたライブを見せてくれそうだ。
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普段は一人でライブを行う押尾は、共演の魅力を「一人しゃべりと掛け合いでしゃべるのとは全然違う。違う音が一緒に演奏するのも、いつも聴いてくれている人にも新鮮に聴こえるし、僕も気持ちがリラックスできる」と説明。「一人とマンツーマンとは全く別物で、掛け合いでしゃべっているのを楽しんでもらえるし、ソロコーナーもあるので、二つ楽しめます」と、お得感もアピールした。
ゲストの出身ジャンルは全く違うだけに「大変」ではあるが、「本当にぜいたくなゲスト。こんなに曲やるの?っていうくらい一緒にやっていただきたい。本当に一回こっきりですから」と、がっぷり四つに組むつもり。思い入れのあるクリスマスソングを演奏したり、「僕が好きなゲストの曲をギターでやって」みたり。「違う押尾の表情が見てみたい」と、自分自身でも期待感が高まっている。