歌舞伎俳優の市川海老蔵（４１）が２８日、都内で自身が主演・監修を務めた一夜限りの演目「スター・ウォーズ歌舞伎～煉之介光刃三本～」に長男の堀越勸玄＝ほりこし・かんげん＝（６）らと出演した。

　同作は海老蔵が人気ＳＦ映画「スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け」（１２月２０日公開）の公開を記念したもので、海老蔵は「スター・ウォーズ」シリーズに登場するカイロ・レンをモデルとした主人公の魁煉之介（かい・れんのすけ）を演じ、勸玄はその幼少期を演じた。舞台あいさつでは、映画の大ヒットとスター・ウォー歌舞伎成功の祈願が行われ、勸玄が「がんばります」と声を張り上げた。

　海老蔵は口上で「私事ではございますが、スター・ウォーズが始まったのが１９７７年で私も生まれたのが１９７７年。同い年でございます。スター・ウォーズが今年完結編を迎え、来年私が市川團十郎白猿を襲名する。何か深い縁を感じます」と述べ、大向こうをうならせた。

　父・主君・師匠に刃を向けるストーリー展開だけに、第一刃（場）に黒一色の衣装に赤の剣を持った魁煉役の海老蔵が登場すると、会場は拍手と「成田屋」のかけ声が乱れ飛んだ。第三刃（場）で海老蔵は、壽臺（じゅだい）の戦士・皇海大陸琉空（すかいおおおかるくう）を一人二役で演じ、得意の早替わりを披露した。琉空は魁煉と師であるルーク・スカイウォーカーがモデルで「私との縁は切ることができぬ」と語ると、勸玄演じる幼き日の魁煉が登場し「私は切り裂かれた」と悲しみを吐露する。

　白の琉空と黒の魁煉という対照的な衣装での立ち回りはスピード感満々。斬ったはずの琉空が幻と分かると、魁煉は「時満たば、また会おう」とつぶやき大見えを切ると、場内からは「成田屋」のかけ声とともに、大きな拍手が起こった。

　剣を使った派手な立ち回りに加え、歌舞伎の荒事・六方（ろっぽう）などを駆使した舞台はＳＦと歌舞伎が融合した新たなエンターテインメントだった。