アフガン貢献医師 銃撃死 NGO「ペシャワール会」中村哲さん

 アフガニスタン東部ナンガルハル州ジャララバードで4日、福岡市のNGO「ペシャワール会」現地代表、中村哲医師(73)らが乗った車が武装した男らに銃撃され、中村さんが死亡した。日本政府関係者が明らかにした。州報道官によると、中村さんのボディーガードや運転手ら5人も死亡した。中村さんは1984年から長年、アフガンで医療や干ばつ対策、貧困対策などの人道支援活動に尽力していた。

 福岡市で開かれた同会の記者会見や州報道官の説明、ロイター通信などの報道を総合すると、中村さんは4日朝に宿舎を出て、25キロほど離れたかんがい作業の現場に向かう途中の路上で襲撃された。武装した男らが車で近づき、ボディーガードを自動小銃で銃撃してから、運転手や中村さんを次々と撃って車で去った。中村さんらの乗っていた車両周辺には血が広がっていた。

 中村さんは口や腕にチューブをつながれた状態で担架に乗せられた。右胸に銃弾1発を受け、ジャララバードの病院で手術を受けたという。治療を受けるため、病院から首都カブール北方のバグラム米空軍基地に搬送中、死亡した。

 妻尚子さん(66)は福岡県大牟田市の自宅で「悲しいばかりですよ。残念です。今日みたいな日が来ないことだけを祈っていた」と涙を拭い、「場所が場所だけにあり得ると思っていた。家にずっといてほしかったけど、本人が(活動に)懸けていたので…」と述べた。中村さんは11月下旬まで2週間ほど帰省していたといい、「家では厳しくなかった。いつもさらっと出て行ってさらっと帰ってくる人だった」としのんだ。

 中村さんはアフガンやパキスタンの国境付近などで貧困層への医療活動に長く関わってきた。00年にアフガンで大干ばつが起きてからは、用水路を建設し緑化に取り組んだ。

 03年に「アジアのノーベル賞」と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞。18年にアフガン政府から勲章を授与され、今年10月には名誉市民権を授与された。

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