NHK新会長 視聴率至上主義に異論「視聴率がどうとか…おかしくなってしまう」
NHKの次期会長に就任することが決まった前田晃伸氏(74)=みずほフィナンシャルグループ(FG)名誉顧問=が10日、東京・渋谷のNHKで記者会見を行った。前田氏は、新会長就任に「大変な重責を担うことになりました。突然のご指名で本人が一番驚いています」とあいさつ。「できるだけ早く、実情をよく把握させて頂いて、公共放送の使命にふさわしい仕事をさせて頂きたい」と話した。
前田氏は大分県出身で、1968年に東大法学部を卒業後、同年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行。02年4月に株式会社みずほホールディングス取締役社長に就任し、以降、同FG取締役社長、同会長などを歴任した。
インターネット常時同時配信が来年4月から始まることについて質問されると「実はインターネットとかパソコン持っていないんですが…」と告白。「相当古い人間で、常時配信がどんなものかも分かっていない。これも1月までもうちょっと勉強させてほしい」と苦笑いし、会見中、何度も「勉強中です」と繰り返した。
テレビ離れが進んでいる現状については、「時代が変わりますので、ある程度しょうがないのかなと思います。しかしテレビがなくなるわけではない。新聞も部数が減るとかありますけど、媒体としてテレビはテレビで価値があると思う。そのためには中身のいい、質のいい物を提供していかないといけない」と持論。
これからのNHKのあるべき姿について、「公共放送ですので、国民の皆さんに信頼される番組を作り続けるということに尽きると思います。視聴率がどうだとか、あんまりそっちばっかりだとおかしくなってしまう。いい番組を提供し続ける、それだと思います」と、“視聴率至上主義”に陥らず、クオリティーを追求していくべきとする自らの思いをきっぱりと口にした。
家族構成について聞かれると、「恐ろしいカミさんとふたりです」と話して笑わせていた。
来年1月に改めて就任会見を行う。