藤井七段「と金になれなかった」…今年一年総括 タイトル初挑戦あと一歩届かず
将棋の最年少プロ・藤井聡太七段(17)が23日、自身が監修したNintendo Switch用ゲームソフト「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」(来年3月5日発売)の、都内で開かれた発表会に出席した。自身の今年一年を総括し、タイトル初挑戦を目前で逃したことを挙げて「と金にはなれなかった」と、ユーモアを交えて表現。再来年の高校卒業後は大学に進学せず、将棋に専念することも明らかにした。
藤井七段にとっては、初タイトル挑戦&獲得という大きな期待を集めたプロ3年目だった。11月の王将戦挑戦者決定リーグ最終戦は、勝てば挑戦者という大一番だったが、広瀬章人八段(32)に敗れて夢は来年に持ち越しとなった。
それだけに「トップ棋士の方との対局が多く、差を感じることもありましたけど、いい経験を積むことができた一年だった」と、若干の悔しさもにじませた回答。「歩」が相手陣の三段目以内に入ると「金」と同じ動きができる「と金」になるという将棋のルールにちなみ、「と金になることはできなかったですが、一歩一歩進んで五段目、四段目までは近づけたと思う」と、当意即妙の表現で笑いを誘った。
対局以外で報道陣に囲まれての取材対応は、この日が初めて。「対局よりこちらの方が緊張します」としつつも、よどみないトークでしっかり仕事をこなした。来年の抱負としては「タイトル挑戦にはあと一歩で届かなかったので、棋力をつけてチャレンジしていきたい」と宣言。6月に開幕予定の第91期棋聖戦五番勝負で、史上最年少でのタイトル挑戦を狙う。
現在は名古屋市内の国立高校2年在学中だが、卒業後は大学進学はせず、完全に将棋一本の生活を送る考えも明かし、「強くなるために大切な時期かなと思っていますので、棋力向上に努めたいというのが今の思い」と語っていた。