宝塚雪組・諏訪さき ラストチャンスで涙の主演「生きてきた中で一番の経験」
宝塚歌劇団雪組新人公演「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」が21日、兵庫・宝塚大劇場で行われた。新人公演は初舞台から7年目までの生徒だけで演じられ、研7の諏訪(すわ)さきが最後となる作品で主演した。
ロバート・デ・ニーロが主演した同名のアメリカのギャング映画を元にミュージカルされた本作。本役の雪組トップスター望海風斗(のぞみ・ふうと)の当たり役ともいうべき作品に挑んだ諏訪。難しい役にもかかわらず、オープニングから落ち着いた様子で、見事な歌を披露。観客をグイグイと物語の世界に引っ張っていった。
母は大地真央と同期の諏訪アイで、小さな頃からタカラヅカは身近な存在だった。歌、ダンス、芝居と三拍子揃った男役だが、新人公演の主演は、最後の最後でチャンスを掴んだ。それだけに落ち着いた芝居とは裏腹に、終演後のあいさつでは涙で言葉に詰まり、空を仰いだ。
「泣くつもりはなかったんですが…ホッとしたのと拍手があまりにも温かくて」と振り返ると、再び涙声に。「今まで生きてきて、一番の経験をさせていただきました」と言葉を振り絞った。
芝居では落ち着いて見えたが、開幕前は緊張の極地だったという。望海からは開幕直前にカツを入れてもらい、「ギャングは緊張しない!生きるか死ぬかでしょ」と言葉に振り切れたという。
ヒロインの潤花(じゅん・はな)、2番手役の縣千(あがた・せん)は、ともに新人公演での経験が豊富。「おかげで安心して、雑念なく芝居に挑めました」と感謝した。また「ライトの重みと責任を感じました」と改めて初主演を振り返った。
潤も「諏訪さんが最後の新人公演で初主演なので支えなきゃと思っていましたが…ずっと引っ張っていただきました」と語った。
東京公演は3月5日。