森光子さん 生誕100年本「百歳の放浪記」刊行 徹子がヒガシが光一が語った
2012年に92歳で亡くなった女優の森光子さんが今年5月に生誕100年を迎えることを記念し、「森光子 百歳の放浪記」(中央公論新社、3月9日発売予定)が刊行されることが5日、分かった。生前に親交が深かった女優・奈良岡朋子(90)や黒柳徹子(86)、少年隊・東山紀之(53)、KinKi Kids・堂本光一(41)らがインタビューに応じ、森さんの知られざる秘話に触れるとともに、大女優として全うした人生を、改めて振り返る。
存命なら今年5月9日で100歳の誕生日を迎えていた森さん。死してもなお、その功績と存在感は灯を絶やさず人々の心に刻まれている。大女優の人生に影響を与えた人物たちの貴重な証言やエピソード、波乱の生涯、そして最後まで舞台に立とうとした姿を、克明につづっている。
森さんの代名詞でもあった舞台「放浪記」。41歳で初めて主役の座を射止め、亡くなる3年前まで半世紀にわたり「林芙美子」を演じ続けた不朽の名作は、通算2017回公演目の09年5月29日が最後となった。
体調を考慮し、翌10年5、6月の公演は中止。11年の舞台に再び立つ日を信じた森さんのため、盟友・黒柳はその年のスケジュールをすべて空けて待っていたという。また、亡くなる年までファクスでやり取りを続け、最後の1枚は、森さんの好物のカレーを一緒に食べるのを楽しみにしている旨が記されていた。他に放浪記で共演した奈良岡や浜木綿子(84)、石井ふく子プロデューサーもインタビューに応えている。
また、森さんを芸能界の大先輩と慕った東山との、家族ぐるみの秘話も紹介。亡くなる1年前の2011年11月、東山に長女が誕生し、森さん宅に連れて行くと、長女は森さんの指をギュッと握ったという。「森さんから生きるという意味のエネルギーをいただいたようでした」と東山。そして、時間が許す限り、最後まで見舞いを続けた。
上演20周年を迎えた主演舞台「Endless SHOCK」が4日に開幕した光一は、森さんの生き様を受け継ぐ演者の1人。観劇した帝劇2000回公演を振り返り「森さんは、最後の瞬間の、いちばん綺麗な輝きを、そこで放っていたのかもしれない」と語っている。