【悼む】日下部五朗さん死去 新しいもの模索し「仁義なき戦い」誕生
映画「仁義なき戦い」シリーズ、「極道の妻たち」シリーズなど数々のヒット作を世に送った東映京都撮影所の名プロデューサー、日下部五朗(くさかべ・ごろう)さんが7日、腎不全のため死去していたことが18日、分かった。85歳。岐阜県出身。葬儀は10日に執り行われた。
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訃報に接し、縁あってデイリースポーツに掲載した「私の名画座招待席」執筆のために京都・亀岡のご自宅に通った日々を思い出した。
数々の任侠映画をプロデュースしたが、一躍名を知らしめたのは「仁義なき戦い」。もう多くを語られているが、この作品に話題が及んだ時、日下部さんの口調は熱を帯びた。「新しいものをやらなければいけなかった」。任侠路線は下火になっており、新しい何かを日々考えていた。
正月第2弾として公開され、日下部さんはロスにいたが、客の入りが気になり本社に国際電話を掛けた。「大ヒットです」に心の中で快哉を叫んだという。常に新しい何かを模索し、しかも体を張っていた。名プロデューサーたるゆえんだ。
大柄な方でいかつい印象だったが、会話を交わすと気さくでユーモアに富んだ方だった。相好を崩してスターたちの数々の裏話をしてくれた。東映ファンである私の、かけがえのない財産である。
ご冥福を心からお祈りいたします。(デイリースポーツOB・菊地順一)