クルーズ船乗客 2人死亡 陰性274人下船「感染しないか不安だった」
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の集団感染で、政府関係者は20日、乗客の80代の日本人男女2人が死亡したと明らかにした。2人は87歳男性と84歳女性。いずれも持病があったという。検査で感染が確認され、医療機関に搬送されていた。乗船者の死亡は初めてで、国内の死亡者は計3人となった。一方、陰性と確認された乗客ら274人が下船した。下船は19日に続き2日目で21日に終える見込み。
2、3人目の国内死亡者は、下船が始まったクルーズ船の乗客から現れてしまった。
クルーズ船ではこれまでに621人の感染が確認され、同船の検疫で事務作業に当たった厚労省と内閣官房の職員も感染が判明した。感染者は神奈川県や東京都など各地の病院に入院している。
このほか北海道と福岡県、沖縄県などで新たな感染者が確認されるなど、国内で感染者は700人を超えている。
死亡した男性は10日に熱が出て翌日に船から病院に搬送された。ウイルス検査で12日に陽性と判明した。15日に呼吸状態が悪化し、人工呼吸器を着けた。男性には、気管支ぜんそくなどの持病があった。
女性は5日に発熱し、6日に下痢をしたため船内の医師が診察。ただウイルス検査や救急搬送はされなかった。発熱が続いたため12日に下船し入院。13日に陽性と判定された。14日に呼吸状態が悪化し、酸素の投与などを行ったが症状は改善しなかったという。
一方、この日新たに274人が下船した。半数ほどが日本人。下船した人は「感染しないか不安だった」と話した。ビニールカーテンで運転席と客席を仕切ったバスで付近のターミナル駅などに移動し、帰途に就いた。
持病があり感染におびえていたという60代の女性は「陰性の検査結果を聞き、ほっとした。まだ船に残っている人はつらいだろう」と語った。
厚労省は17日までに船内に残る乗客全員から検査のための検体を採取。14日間の健康観察を終えているため、結果が陰性なら医師らによる健康チェックを受けた上で下船し、日常生活に戻ることができるとしている。