「第９２回アカデミー賞」で非英語映画として史上初の作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多４冠を獲得した、韓国映画「パラサイト　半地下の家族」のポン・ジュノ監督（５０）と主演俳優のソン・ガンホ（５３）が２３日、都内の日本記者クラブで、来日会見を行った。２人は、謎のウイルスに感染したとみられる主人公を描いた映画「グエムル－漢江の怪物－」（２００６年公開）でもタッグを組んだことから、東アジアを中心に猛威を振るう新型コロナウイルスの問題について質問され、回答した。

　韓国・大邱では新興宗教団体の信徒らを中心に感染が拡大していることもあって、ジュノ監督は「浦沢（直樹）さんの『２０世紀少年』が思い出されます。現実と創作物が相互に侵入し合うのは自然の流れ」と持論を展開。不気味な組織に立ち向かう少年を主人公に、映画化もされた日本の人気漫画を引き合いに出した。

　「医学的な恐怖より、人間の心理が作る不安が大きいと思う。巻き込まれすぎると、災害を克服するのが難しい」と主張。「『漢江』でもそういった騒動を描きました。映画とは違う状況ですが、過度に反応すると恐ろしいことが起こるし、国家や人種的な偏見が加わると、より恐ろしいことが起こる」と警鐘を鳴らしていた。