映画「風の電話」諏訪敦彦監督 3・11の傷「残っている」
第70回ベルリン国際映画祭で23日(日本時間24日)、主に10代の若者向け作品が対象の「ジェネレーション14プラス」部門に選出された諏訪敦彦監督(59)の「風の電話」が上映され、会場は温かい拍手に包まれた。
東日本大震災で家族を亡くした高校生の少女が主人公で、出演した女優のモトーラ世理奈(21)、渡辺真起子(51)と共に登壇した諏訪監督は、舞台となった被災地の現状について「9年あまりがたち、見た目には傷は見えなくなってきているが、人の心の中にはさまざまな傷が残っている」と説明した。
主演のモトーラは「この映画を撮り終わった時からたくさんの人に見てほしいという思いが一番強かった。今日、皆さんの反応を見て(それが実現したことを)実感できた」と笑顔で語った。
映画は震災の犠牲者と遺族の気持ちをつなぐ場として岩手県大槌町に設置された実在の電話ボックスがモチーフ。ヒロインが身を寄せていた広島から故郷の大槌へ旅をする中で、傷ついた心を再生させていく姿を描いた。