ふるさと納税返礼品 トイレットペーパー目当ての寄付殺到 新型コロナデマで余波
新型コロナウイルス感染拡大の影響で日用品を買いだめする動きが続く中、自治体が取り組む「ふるさと納税」の返礼品でトイレットペーパー目当ての寄付が殺到、4日までに一部自治体は取り扱いを停止した。同日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者を含め、国内の感染者は千人を超え、1034人となった。死者は12人。また、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3日、感染者が世界全体で9万893人になったと明らかにした。死者は3110人。
愛知県春日井市は市内にトイレットペーパーやティッシュペーパーの製造工場があり、ふるさと納税の返礼品としてきたが、2日に当面の取り扱いをやめた。市担当者によると、トイレットペーパーの返礼品申し込みは1月が74件、2月は26日まで86件だったが、27日から3月1日までの4日間で459件に急増。返礼品の発注、発送に遅れが出る恐れがあると判断した。
2月下旬になって、トイレットペーパーが品薄になるとのデマがインターネットなどで流れたためとみられ、市担当者は「寄付件数が増えて自治体の知名度が上がるのはありがたいが、こうしたデマに基づく買い占めがきっかけなので複雑な心境だ」とぼやく。
岐阜県本巣市も返礼品として扱ってきたトイレットペーパーに申し込みが殺到し、やはり2日に取り扱いを停止した。市によると、2月28日から3月1日までの3日間で約2千件の申し込みがあり、通常1カ月分の全返礼品数に匹敵する件数に上った。市担当者は「全国的には十分な在庫があると聞いている。冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。
トイレットペーパーが不足し始めたのは2月下旬。「(品薄の)マスクと原材料が同じ」、「中国に生産を依存」と指摘したツイートが発端とされる。実際は国内生産が大半で、原料はパルプや古紙。マスクに使われる不織布の原材料は主に化学繊維で、このツイートはデマだった。
ふるさと納税サイト「さとふる」によると、本巣市の場合、1万円の寄付で返礼品のトイレットペーパーは72個セットから108個セットまである。