ガガガSP 4年半ぶりアルバムは20年の集大成「自己肯定感が上がった」
パンクロックバンド・ガガガSPのコザック前田(40)と山本聡(38)が、このほどデイリースポーツの取材に応じ、3月18日に約4年半ぶりに発売するオリジナルアルバム「ストレンジピッチャー」への思いを語った。
2000年12月にインディーズデビューして、今年で20周年。節目の作品について前田は「これまでのガガガSPがやってきた音楽から、ちょっと変化した作品。1つの集大成です」と説明した。
「ストレンジピッチャー」というタイトルは、前田の造語。「今までとは違うものを作品にしたいなというところを、前田さんのフィルターを通してもらって言葉にした」と山本。前田は「全体的なアンサンブルを考えるようになった。今までだったら勢いで、一番“活きのいいもの”をという考えだったんですが、音楽としていい形で作れたアルバムになったかなと思いますね」と自信を見せた。
昨年9月で40歳を迎えた前田は「ものの見方が変わってきましたね」と笑う。「これまでは、自分を肯定する力が少なかった。他者を非難したりして“逆張り”することで、自分のバンドや自分自身を成り立たせていたところがあった」と回顧。「肯定感が上がったことで、音楽に対して純粋に向き合うことができた。これが円熟なのかな」と笑いながら明かした。
山本も「ずっとやってきてて、自分らで自分らの型にはめちゃってたのが大きくて、それで良しとしてきた」と振り返った。「それでいい部分もあるんですけど、去年、身近な存在が何人も亡くなって。そういう経験をすると、『元気』一発だけじゃ足りないという部分が、自分の中にできてきた。元気だけじゃなく、もうちょっとあやふやなものって皆さんの中にあると思うんですけど、そういうところにもう一歩踏み込む作品にならないかなという思いでした」と言葉に熱を込めた。
さらに今までは『作らなきゃいけないから書いてた』曲が多かった」と、曲作りへのモチベーション面についても言及。「今作は、出来事があって、それに対する思いを曲に表現して、はき出したものがほとんど。今までは商品としてのガガガSPで、今回は日記に近いというイメージです」と自作を分析した。
バンドとしては、2002年のメジャーデビュー作「卒業」がヒット。その後は「置いてけぼりになったとすねた時期もあった」(山本)と、苦しんだ時期もあった。20年を経て、山本は「ようやくですかね。バンドの中で、俺らはもうこれで行こうと。あきらめと言うより吹っ切れに近い感じになった。その結果がこの作品に出ていると思います」と話した。
とりわけ前田は、自身のパニック障害の影響でバンドが活動休止になるなど、紆余曲折を経てきた。「いい時期は勢いで良かったかもしれないけど、その後はメンバーがおってくれたというのが一番大きいですね。自分がすごく荒れてた時に、誰か1人でも『辞める』という言葉を出していれば、辞めていた。ここ2、3年で特に感じますね…。物事に向き合うことで、いろんなことの筋道がきれいになってきた」としみじみ語った。
解散の危機については、山本は「それは、いっぱいあったと思います」と正直に吐露。その上で「僕としては、バンド界には、どれだけすごいミュージシャンでも、『これやな』っていうバンドは人生で1回しか組めないというのがあるらしい。僕にとってはガガガSPがそうだから、というのがデカいのかもしれないですね」と晴れやかに笑った。