東京から人波が消えた…「厳戒首都」週末初日 飲食店などは悲鳴「致命的」

 東京都の小池百合子知事(67)が25日の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で週末の不要不急の外出を自粛するよう要請したことを受け、28日の都内では大幅に人出が減少。「普段の半分ぐらい」という状況だった。花見の名所である上野公園では、宴会客の姿はなし。原宿・竹下通りも、週末とは思えない閑散とした様子だった。一方で、自粛要請に応じず外出する人の姿も散見され、小池知事の要請を「説得力がない」と批判する声も上がった。

 桜がほぼ満開を迎えた東京・台東区の上野公園。この時期は毎年350万人近くが来場するが、この日は13時で約30人、16時にはさらに半数。訪れたほとんどが飲食をせず、写真を撮るなどして退散。宴会をしている様子もなかった。同公園は、27日に東京都が都立公園などでの花見を全面自粛するよう求めたことで、ロープやテープを張り一部通路が通行止めに。例年、宴会などでにぎわう桜の並木通り約500メートルが規制された。

 近所に住む男女は「こんな上野は滅多に見られない。一生に一度の景色だね」と初めての経験に苦笑い。都内の60代男性は「規制はしょうがない。でもいつもより静かに花が見られる」と規制ロープの外から桜を眺めた。同じ上野のアメヤ横丁では、大半の店が営業。鮮魚店の男性は「お客さんはいつもの半分以下。土曜日でこれは致命的だね」と悲痛な声で話した。

 若者の人気スポットとして知られる東京・原宿の竹下通りも、まるで違う街になったかのように閑散。週末はティーンの女性を中心とした買い物客でにぎわい、行き交う人々がすれ違うのもひと苦労するほど混雑を見せるが、この日はガラガラだった。

 一部のスイーツ店やドラッグストア、雑貨店などは営業したが、沿道の店のおよそ半数ほどが臨時休業した。ある店の従業員は、「人通りは普段の2割くらいですかね」と、静まりかえったストリートの様子に落胆の表情を隠しきれなかった。

 渋谷駅前のスクランブル交差点や渋谷センター街も、日中は人影もまばら。夕方にかけ若年層を中心に人が集まりだしたが、通常のにぎわいには及ばなかった。

 ファッションビル「SHIBUYA109」や「渋谷パルコ」「マルイ」などが臨時休業。愛媛県から就職活動のため上京したという女子大生は「会社説明会が1社中止になってしまった。せっかくなので、こちらに住んでいる友達とご飯に行きます」と話した。

 新宿・歌舞伎町では、一部飲食店、カラオケ、映画館が臨時休業に。一方で、キャバクラやガールズバーは通常営業の店が多く、「東洋一の歓楽街」らしく、きらびやかなネオンが消えることはなかった。

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