悲喜劇を志向したシャイな「師匠」志村けんさん 川上麻衣子が悼む
タレント・志村けんさんが29日午後11時10分、新型コロナウイルスによる肺炎のため、都内の病院で亡くなった。飲み友達として公私ともに親交の深かった女優・川上麻衣子がデイリースポーツに追悼文を寄せた。
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覚悟はしていましたが、ショックです。身近に「死」があることを改めて感じました。
志村さんとお会いしたのは私が20代後半の頃。親友の可愛かずみさんの紹介でした。3人で飲むようになり、私は志村さんのことを「師匠」と呼ばせていただきましたが、当時はスペシャル番組以外にテレビのお仕事をしていなかった頃で、師匠には時間があったのです。飲み友達として楽しい時間を共にさせていただきました。
私が30歳になった1996年からフジテレビ系の深夜バラエティー番組「志村X」に出演させていただきました。お酒の席で師匠から「コントではなく、ドラマをやってみたいんだ。手伝ってもらえませんか」と相談いただき、私は「もちろんです!」と快諾。この番組は2000年まで続き、さらに次の「変なおじさんTV」でも2年、共演させていただきました。この6年間は私の宝物です。
いろんなことを教えてくださいました。「笑えるんだけど、どこか哀しくて切ない『悲喜劇』が好き」「つらいという状態が他人から見ると滑稽でそのギャップが面白い」。師匠は藤山寛美さんが好きで、私も一緒にビデオを観ていました。
ふだんは静かな人でした。シャイで、最初はテレビとのギャップに驚かれることが多かったです。最後にお会いしたのは半年ほど前。ロケの合間、私が東京・谷中で営むお店を訪ねてくれたのです。相手のことを気遣う人でした。また、いつか舞台で一緒にお仕事をしたいと思っていたところだったので、コロナで亡くなるなんて、まだ信じられません。
今はただ、ゆっくり休んでください、ありがとうございましたとしか言えません。師匠からたくさん、勉強させていただきました。